「自分の苦労」が報われないワケ

『逃げ恥』の第6話で、森山の伯母が、いきつけのバーで仕事のグチをこぼす場面がある。その際、店のマスターがこのような発言をする。

「人間は悲しいかな、見返りが欲しくなる生き物。特に恋愛に関しては。自分がかけた愛情と同等の愛情が返ってこないと人は不安になる。愛情がなくても、同等の見返りがあれば納得できることもある。お金だとか、生活の安定だとか。でも思いが強くなるほど、次第に耐えられなくなる。『オレばかり』『私ばかり』という思いが募って、やがて関係は終わりを迎える」

これは恋愛にたとえているが、仕事においてもまったく同じことがいえる。

会社と従業員とは、もともと利害が一致しないものである。しかし、一方でお互いを必要としているのもまた事実であり、自分のことだけを考えていては、空回りするばかりとなる。双方がともに繁栄していくためには、両者の希望がオーバーラップするポイントを探すことが重要である。

共存共栄するには「We」発想が必要

お互いが喜ぶポイントを見つけるもっとも手っ取り早い方法とは、「自分から相手に歩み寄る」ことである。相手が歩み寄るのを待っていたら、いつになるのかわからないからである。

そもそも、「オレばかり」「私ばかり」となる原因は、自分を基準にすることによって起こるすれ違いが多くを占めている。自分の基準で一生懸命頑張ったところで、相手は相手の基準で生きている以上、伝わりにくいのはある意味、当然といえる。だいたいの場合、「一生懸命頑張ってもダメ」なのではなく、頑張るポイントがズレているのである。

他人から「ありがとう」といわれて嬉しくない人などいないし、自分が喜んだら、相手にも喜んでもらおうと思うのは自然な感情である。もし、仕事や家庭でうまくいかず、もどかしい思いをしている人がいるのであれば、今日から「I(私が)」や「You(あいつが)」という考え方をやめて、「We(私たちは)」を基準にすることをオススメする。

仕事にしろ結婚にしろ、「We」発想を持つことではじめて、利害は一致する。正面で向き合うのではなく横に並ぶのである。これを書いている現在(2016年11月)、まだ『逃げ恥』の結末はわからないが、きっと主人公の2人も最後は「We」発想にたどり着くに違いない。

俣野成敏(またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

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