がん保険,女性
(写真=PIXTA)

がん保険の中には女性専用のがん保険もある。女性なら女性専用のがん保険を選ぶべきなのか、それとも男女共用のがん保険を選ぶ方が良いのだろうか。女性向けのがん保険のメリットとデメリットを明らかにし、どのような人が女性向けがん保険を選ぶべきなのかを探っていく。そろそろがん保険に入ろうかと検討している方は、ぜひ参考にしてもらいたい。

女性に特有のがんとは?

一般に「乳がん」や「子宮がん」を女性特有のがんと呼ぶ。2012年度に実施された国立がんセンターによるモニタリング調査によると、男性では罹患率が高いものから胃がん・大腸がん・肺がん・前立腺がん・肝および肝内胆管となっているが、女性では乳がん・大腸がん・子宮がん・胃がん・肺がんとなっており、女性特有のがんが1位と3位を占めていることが分かる。

このデータからも、男女とも同じがんにかかる傾向にあるというよりは、女性は女性特有のがんにかかりやすいと言うことができるだろう。また、一生のうちにがんと診断される女性は、女性全体の約46.0%を占めると言われている。どの女性にとっても、がんに備えるのは特別なことではなく必要なことだと言えるのだ。

がん保険とは

通常の医療保険に加入している場合でも、がんにかかる治療費や入院費を請求することはできる。だが、通常の医療保険では入院日数に上限が決まっていたり、通院治療については保険金が支払われなかったりすることがほとんどである。

がん保険は、治療が長引き治療費がかさむがんに特化した保険として、入院日数の上限が決まっていなかったり、通院治療を受ける場合にも保険金が支払われたり、高額となる先進医療を受ける場合にも別途、保険金が支払われるように設定されたりしている保険なのだ。

また、がん治療が長引くと生活費に支障が出てくる可能性もある。そのような不安を解消すべく、がんと診断されたときに100万円~300万円ほどの一時金(見舞金)が出るものもある。

女性向けがん保険が必要な理由

公益財団法人がん研究振興財団の調査によると、がんと診断されてから5年以上生存する確率はがん全体では58.6%だが、乳がんは89.1%、子宮頸部がんは72.2%、子宮体部がんは79.8%と高くなっていることが分かる。

生存率が高いと言うことはもちろん好ましいことではあるが、その分、治療期間が長引く恐れがあるということでもある。女性特有のがんに罹患した場合の、長い治療期間を支える保険である女性向けがん保険が必要になるのは当然の流れと言うことができるだろう。

女性向けがん保険のメリット

女性向けがん保険には、どのようなメリットがあるだろうか。

乳房再建術にも保険適用される

女性のがん罹患率1位の乳がん。進行の程度によっては乳房切除を実施することもある。切除によってがんを克服できることは望ましいことではあるが、切除した後の精神的なデメリットは計り知れないものがある。

生命の危機を脱することができても、精神的なダメージが大きく、女性としてのQOL(生活の質)が低下してしまうことはやはり耐えがたいものと言えるだろう。もちろん、乳房を再建する乳房再建術を受けてQOLを維持することもできるが、乳房再建術は医療費としては認められないため、自費で賄うことになるのが通常である。

だが、ほとんどの女性向けがん保険では、医療目的の手術だけでなく、乳房再建術にも保険金が支払われるようになっている。もしものときも高いQOLを維持するためにも、女性向けがん保険が役に立つと言えるのだ。

配偶者に万が一のことがあったときに保険料が免除される

全ての女性向けがん保険ではないが、一部の女性向けがん保険には、配偶者が死亡したり重度機能障害状態になったりしたときに以後の保険料の支払いが免除されるものもある。男女雇用機会均等法が施行されてから長く経つが、女性と男性の賃金差・収入差があるのは事実であり、女性が女性一人で子どもを育てていくのは容易ではない。そのようなときに保険料免除が適用されるなら、医療費の不安も少しは軽減されるのではないだろうか。

女性向けがん保険のデメリット

もちろん良い点ばかりではない。女性向けがん保険には、デメリットも存在するのだ。

女性向けのがん保険は、通常の医療保険よりも割高になることが多い。通常の医療保険にがん特約をつけることもできるが、その場合は女性特有のがんや乳房再建術などの保証が強化されていないことが多いので、女性特有のがんに対する保証を強化したい場合は、女性向けのがん保険に加入することが求められる。

女性特有のがんが不安な方は、女性向けのがん保険に加入することが勧められる。だが、保証が充実している分、保険料も高くなるので、本当に女性向けのがん保険が必要なのか、通常のがん保険や医療保険の方が適しているのか、しっかりと吟味する必要があるだろう。