中国では5G関連のニュースをほぼ毎日のように目にする。世界の次世代通信網の主導権を握ろうと、躍起になっているその動きは、日本でもたびたび報道させている。民間の関心も非常に高い中、一般紙に「我国は5G網連の商用時間表を確定した」と題する記事が掲載された。

中国へ進出した外資系企業において、当初スケジュール通り生産を開始した工場は1つもない。まだ工事中にもかかわらず強引に開店した日系スーパーもある。こういうIT技術のスケジュールは果たしてうまくいくのだろうか。

2020年商用開始

工信部やその他権威筋からの情報によると、中国IMT−2020(5G)の商業使用スケジュールは正式合意された。5G推進組の工作担当部署と三大運営商(中国移動、中国電信、中国聯通)は5Gの商用計画に沿って、2017年には第二段階テストを行う。2018年には大規模試験を実施し、2019年には基本設備建設を終える。最も早ければ2020年中に正式商用を開始する。

権威筋は記者の取材に対し、各項目とも順調に進展しており、三大運営商は2019年の設備建設開始が有望と判断している。建設総規模は現有の4G設備と同等な規模となり、総予算は5000億元を超える、としている。

付帯産業の興隆

中国移動研究院によると、三大運営商は、国内通信設備企業と各項目の試験及び、実験室での包括試験を進めている。すでに小規模なフィールド試験も行った。さらに国際合作方式にも整合させていく。5Gの標準形式は2018年に公布する予定だ。

5Gの導入は通信業に付帯する周辺の大規模新興産業の発展を促す。市場予測、車載ネット、ビッグデータ、知能家電、ドローンなどIoTが進む。応用技術は成熟し4Gの限界が取り払われるのを待っている。

例えば三大運営商の1つ中国移動では、42社を参加させ、5G聯合創新センターという企業グループを組んでいる。通信設備製造5社、通信端末関連9社、計測機器5社、垂直統合関連18社、さらに垂直統合創業企業5社を含んでいる。すでに商用段階に達した新技術も出ている。

中国ペースの5G生活

新華社の語る5G生活は次のようなものである。2020年以降、我々は第五代移動通信技術の時代に入る。5Gは現在の4G比1000倍の通信速度を持つ。それはVRを含め、利用者に全く新しい体験を提供する。全息映像(ホログラフィ)も大衆の生活に入り込んでくるだろう。

もちろん反応時間は大幅に短縮される。スマホ操作におけるこれまでのストレスは完全に解消されるだろう。同時に、大容量という特質は、人の密集する地区でも快速で安定した通信環境が維持される。高画質映画のダウンロードは1秒以内に完成する。数百枚の写真も一瞬で移動できる。速度の大幅上昇は周囲の状況を次々に変えるはずだ。

ところで日本や欧米は、中国のように官民巻き込んだ熱気をはらむ5G開発を、進めているのだろうか。とても気になる。さもないとスマホユーザーの圧倒的な質量と、珠江デルタという電子工業生産背景を武器として、次世代通信技術は中国ペースで事が運ぶことになる。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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