日経平均予想ジ レンジ 18,175 ~ 18,746 円

今週は、市場が関心の高い重要イベントを見極めたいムードが広がる中、欧米株安、円安一服を背景に日経平均は、週前半は7日連騰での高値警戒感から18,300円を挟んだもみ合いに推移した。その後、OPEC総会での減産合意を受けた円安を追い風に、終値では18,513円の年初来高値(12/1)を付けた。

海外の焦点

注目の米経済指標では、7-9月期GDPが年率換算で3.2%増と速報値2.9%を上回った。また、11月ISM製造業景況指数は53.2と6月以来の高水準となり、米景気の先行きに対する期待感は高まっている。週末の11月雇用統計は18万人増が見込まれ、強い内容となれば来年以降の利上げペースの速まりへの思惑から米金利高・ドル高進行になりやすい。ただ、足元での金利上昇に伴いインフレが加速するとの思惑やドル高の影響が意識され始めている点は留意しておきたい。

投資家動向

投資家動向では、海外勢の大幅買い越しに対して、国内勢が売り手となっている。11月第1週から第4週、外国人は現物で1.12兆円、先物で1.22兆円買い越した。一方、個人は1.18兆円売り越し、信託銀行は2,500億円売り越した。個人は急激な環境と相場変化について行けていない状況といえるものの、一本調子の上昇のあと押し目買いに徹したと推測される。

海外勢は実際、米国の株式投信には米大統領選後に280億ドルの大量の資金が流入している。同様に日本株に対しても海外の年金や投信などが中長期な視点で投資行動を起こしたと考えられる。

10月から現物のネット裁定買い残が増えている。7月の相場下落時には急減し、9/26に2,500万株のボトムをつけたが、その後増加傾向を示し、2/1現在9.8億株に膨らんできた。年初の日経平均18,500円台時点での17.5億株から見るとまだ低水準に位置するだけに、先物買いにより、裁定買いを誘発する可能性は強く、相場の上昇余地は大きそうだ。

日経平均はトランプ次期米大統領が決って以降、2,200円強上昇した。急ピッチな上昇に対するスピード調整局面に至ってもおかしくないが、スピード調整入りを示す明確なシグナルは出ていない。

来週の株式相場

以上、来週は高値警戒感が意識される中、円相場の先安感は根強いなど、外部環境の安定が下値を支える状況は続きそうだ。日経平均のレンジは、上値は12/1高値18,746円が意識され、下値は11/22の窓埋め18,175円が目処となる。

株式相場見通し12-2

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト