ふるさと納税を行うと、金額に応じてお礼品がもらえるだけでなく、限度額までの税金控除も受けることができる。非常に魅力的な制度であるが、寄付するだけで自動的にお金が返ってくるわけではない。

本稿では、ふるさと納税の控除の仕組みと、確定申告の際に気をつけたいことについて説明する。今年初めてふるさと納税をした人は、確定申告までにしっかりと申請方法を理解しておこう。

目次

  1. ふるさと納税とは
  2. 確定申告ではお金が戻ってくる?
  3. ふるさと納税の控除の仕組み
  4. 確定申告で気をつけたいこと

ふるさと納税とは

自分の選んだ地域に納税することで、所得税と住民税の控除を受けられる仕組みをふるさと納税と呼ぶ。ふるさと納税は、その地域の振興になるだけでなく、税金の使い方を指定できるものもあり、地方創生に個人が直接関わることにもなるのだ。

ふるさと納税をすると、金額によってお礼品がもらえることがある。その土地ならではの特産品や銘菓、宿泊に利用できる金券などを受け取ることができるという楽しみもあるのだ。

確定申告ではお金が戻ってくる?

ふるさと納税では、住民税の2割を限度として寄付した金額に応じて控除を受けることができる。例えば、年収600万円で専業主婦の妻と2人で暮らす男性の場合、ふるさと納税以外に寄付などを実施していなければ年間約6万8000円までの寄付に対して控除を受けることができる。

控除を受ける金額は寄付した全額ではなく、寄付金から約2000円を差し引いた額となる。そして、寄付するだけでは税金控除を受けることができないことに注意しよう。

今年分の所得税と住民税から控除を受けたい場合は、翌年2月中旬~3月中旬に確定申告を行う必要がある。年間に5つの自治体までの寄付で、控除全額を住民税から減額する場合は、確定申告不要のワンストップ特例制度を活用することもできる。寄付ごとに申請書を自治体に郵送することで、確定申告せずに税金控除を受けられる制度だ。

ふるさと納税の控除の仕組み

ふるさと納税をした際に受け取った寄付金受領証明書を、翌年の2月から3月の確定申告で提出すると、源泉徴収などですでに所得税を納税している人であれば3月から4月ごろに所得税控除額が指定した銀行口座に振り込まれる。続いて5月ごろに各家庭に住民税の通知書が届くが、この通知書にはふるさと納税による控除額が差し引かれた額が記載されており、収入が変わらない場合は普段よりも少ない住民税額が記されていることになる。

つまり、ふるさと納税をすることですぐに現金を受け取れるというわけではないが、ふるさと納税した額から約2000円を差し引いた分だけ、それ以降に支払う税金額が少なくなるというメリットを受けられるのだ。

確定申告で気をつけたいこと

確定申告の際には、寄付したときに自治体から受け取る寄付金受領証明書が必要になる。これがないと、高額の寄付を行ったとしても税金控除を受けることができないので、必ず保管しておくこと。

特に複数の自治体に寄付した人は、最大限の税金控除を受けるためにはすべてのふるさと納税を証明する寄付金受領証明書が必要になる。翌年の確定申告時まできちんと管理しておきたい。

なお、前述のとおり住民税の2割までしか税金が控除されないので、それ以上の寄付を行っても控除額がいくらでも増えるわけではない。地域を支援する目的で上限を定めず寄付をすることはもちろんできるが、税金控除を目的として寄付する場合は、控除の上限額をしっかりと把握してから申し込むようにしたい。

加えて、ふるさと納税は特定寄付金として控除対象となるので、ふるさと納税以外に学校や福祉団体などに寄付をしている場合も、それらの寄付額と別途に控除対象額が決まるということも覚えておきたい。ただし、日本赤十字社などの特定団体を通して国内義援金として寄付する場合はふるさと納税と同じ枠になるので、寄付先の団体に問い合わせてから行うのがいいだろう。

ふるさと納税を上手に活用すれば、約2000円の負担でその地域ならではの特産物や宿泊券などを受け取ることができる。まずは自分がどの程度の額まで控除を受けられるのかを計算し、気になる地域にふるさと納税をしてみるのはいかがだろうか。