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(写真=PIXTA)

年金制度は、実に複雑である。その原因の一つが、年金の種類の多さであろう。各年金制度には、大きな違いがある。その支給額や、保険料もまちまちである。

毎月年金保険料を天引きされ、年金に加入しているのは知っているが、どのような仕組みのもので、一体いくら年金をもらえるのか理解している人は意外に少ない。今回は、年金にまつわる、これだけは知っておいてほしい制度について解説していく。


年金制度について

年金には、さまざまな種類がある。全国民が加入の義務があるものは、国民年金である。国民年金は「1階部分」と言われ、年金の基礎的な部分を担っている。全国民が同額の保険料を支払い、支給される年金額はその加入期間によって決定する。20歳から60歳までのすべての期間、保険料を納めると満額支給となる。

その上、つまり「2階部分」には厚生年金もしくは共済年金がある。これらは、所得に応じた保険料を支払い、加入期間、所得に応じた額が支給される仕組みである。さらに、また上の「3階部分」には、会社独自の企業年金や確定拠出年金などが人により上乗せされることになる。

年金免除とは

「国民年金保険料免除・納付猶予制度」というものがあるのをご存知であろうか。保険料免除制度は、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定以下の場合に、保険料の納付が免除される制度である。1月から6月までに申請する場合は、前々年所得が基準となる。失業した場合や、保険料を納めることが経済的に困難な場合に本人が申請する。承認されると、全額・4分の3・半額・4分の1のいずれかの保険料に免除される。

納付猶予制度は、20歳から50歳未満の被保険者が、前年もしくは前々年の所得(1月から6月までに申請の場合)が一定以下の場合に、保険料の納付が猶予される制度である。

国民年金保険料免除・納付猶予制度には、メリットがある。免除・猶予されることはもちろん、その期間も年金納付期間としてカウントされるのである。その期間は満額ではなく2分の1の支給となる。これに対し、手続きをせず未納のままだと、その期間は一切考慮されないことになる。経済的な余裕がない場合には忘れずに手続きをしてほしい。

年金減額のシステム

最近話題になった「年金カット法案」と呼ばれるものは、正確には「年金制度改革関連法案」という名称である。

その内容を一言で言えば、将来世代の名目手取り賃金が減少した場合には、従来よりも年金額の減少率を大きくするというものである。名目手取り賃金の減少率に合わせて年金を減額するのである。

もともとは名目手取り賃金が減少した場合で、物価が上昇している局面では年金額は据え置きであった。物価が下落し、名目手取り賃金も減少したとき、名目手取り賃金の減少率よりも物価の下落率が小さい場合には、物価の下落率に合わせて年金額を減額していたのである。

年金減額は今まで、物価の減少率に応じて行われていた。今回の改正により、年金減額においては減少率がより高くなる名目手取り賃金の減少率の方が優先されることになる。これは、確かに将来世代への負担軽減の意味がある。しかし、その頃年金を受給する世代にはあまりいい話とはならないことは明白である。

日本が年金制度を維持していく上で、そうした改正が必要というのが与党の考えである。実際に、物価や賃金が将来どうなっているかはわからない。しかし、最悪の場合を想定しておく必要が出てきたとも言えるであろう。

年金制度をうまく利用しよう

年金は保険料だけ取られて、自分の時に本当に受け取ることができるのか不安だという方も多いであろう。年金は「世代間扶養」という考え方を取っている。世代間扶養とは、その時の現役世代が、高齢者を支えるというものである。保険料を納めなければ、自身が年金を受け取る権利を得ることはできない。自身はもちろん、支え合いのためにも年金を払うことは大切なことなのである。

加えて、年金には税金の控除の面でもメリットがある。個人年金保険や確定拠出年金では、保険料に応じて控除を受けることができるのである。つまり、現金で保有しているよりも課税対象額が少なくなるため、ただ貯金をしているよりも税制面で大きなメリットがある。

年金の運用益についても非課税となるため、資産運用の選択肢となる。今まで、老後のために貯金をしていたという場合には、検討してみてほしい。

年金に利用されないために

年金にまつわる制度について紹介してきた。年金という仕組みは、受給して初めてありがたみを感じるものである。年金についての不安は絶えない。保険料を支払い続けなくては、その議論にさえできないという状況にもなりかねない。

まずは、自身の加入している年金について理解を深め、未払いの期間があれば支払うことも必要であろう。しかし同時に、自分の身は自分で守るという考え方も必要な時代となってきた。年金に利用されるのではなく、賢く利用してもらいたい。

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