自動車,自動ブレーキ
(写真=PIXTA)

「ぶつからないクルマ」--。最近は自動ブレーキの機能をうたうクルマが増えている。昔は走りの性能を競い合っていたが、最近は走るよりも止まる性能が注目されていると言ってもいいだろう。

自動ブレーキとはどんなものなのだろうか。そして本当にクルマにとって必要な機能なのだろうか。

国交省などが自動ブレーキを評価

国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(JNCAP)が、予防安全性能アセスメントというプログラムで各メーカーの車種について評価を行っている。衝突被害軽減制動制御装置、車線逸脱警報装置、後方視界情報と3つのジャンルに分けて試験と評価が行われ、自動ブレーキは、最初のものに属する。

配点は、対車両の被害軽減ブレーキが32点、対歩行者の被害軽減ブレーキが25点、はみ出し警報が8点、後方視界情報が6点の計71点満点で、そのうち76%が被害軽減ブレーキの項目で占められている。

総合評価に関しては、合計が2点以上の場合には先進安全車(ASV)として認定される。さらに12点以上の場合は先進安全車+(ASV+)として認定される。

このような評価を行うことにより、自動車メーカーにより安全な自動車の開発を行ってもらうのが狙いである。

各メーカーの自動ブレーキ種類

自動ブレーキのシステムには3種類の方式がある。

まず「ミリ波レーダー」方式で、大きな情報量を扱うことができ、小型であるというメリットがある。検知距離が長いので、前方に照射することで走行する車両や人を検知できる。自転車や人間の検知に関して、少し精度に問題があるということと、発信部分が泥で汚れている場合や、雨などの悪天候の時には精度が低下する問題点がある。

次に、「レーザーレーダー」がある。これは先のミリ波レーダーより探知距離が短いが、その反面、近くの歩行者や自転車の検知には優れている。メリットはミリ波レーダーに比べて安価だということだ。

最後に、「単眼と複眼のカメラ」で、撮影した映像を分析して障害物や歩行者の検知ができるものだ。ミリ波レーダーで信用性に欠ける部分も、カメラタイプでは払拭されることが多い。西日に向かう運転と濃霧や豪雨では能力を発揮できないことがある。

それでは各メーカーの自動ブレーキについて調べてみよう。

日産自動車では、デイズにレーダーレーザー、ノートやスカイラインにミリ波レーダーを採用している。軽自動車や小型車の多いスズキでは、「デュアルカメラブレーキサポート」というステレオカメラ方式をイグニスやスペーシアなどで採用している。

トヨタでは独自の衝突支援安全パッケージ「トヨタ セーフティ センスC」を搭載し、レーダーレーザーと単眼カメラを併用。オーリスやヴィッツをはじめ、標準装備のグレードやオプションとなっているグレードがある。レクサスをはじめとした上級車種には、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた「トヨタ セーフティ センスP」となる。

マツダは「i-アクティブセンス」という名称で、これまでミリ波レーダーを使ったものだったが、今年の新型アクセラにはアドバンスドSCBSというミリ波レーダーにカメラをプラスしたものが採用され、JNCAPで総合評価Aを獲得した。三菱自動車では「e-アシスト」というレーダー方式となっている。

ホンダではミリ波レーダーと単眼カメラの「ホンダ センシング」だ。

そして、自動ブレーキといえば、スバルのステレオカメラ式「アイサイト」がつとに有名だ。ここ数年のスバルの好調ぶりは、アイサイトのおかげと言っても過言ではない。先日発表されたインプレッサは、全車にアイサイトが標準装備となった。

輸入車では、メルセデス・ベンツでミリ波レーダーとステレオカメラの「レーダーセーフティ」で、S、E、Cクラスに採用されている。評判が高いのは、ミリ波レーダーとデジタルカメラを使ったボルボだ。その他、フォルクスワーゲンでは赤外線レーザーやミリ波レーダーを、BMWやアウディではミリ波レーダーとデジタルカメラを用いており、輸入車も予防安全には積極的である。

自動ブレーキのないクルマの事故率は2.5倍?

これだけ隆盛を極める自動ブレーキだが、そもそも不要だという意見もある。その多くは、自動ブレーキの誤作動だ。たしかに、過去、デモ試乗で、自動ブレーキが作動しなかったというニュースやリコールが発生した自動車メーカーもあった。

だが自動ブレーキを装着していないクルマの事故の確率は、つけている車の2.5倍にものぼるというデータもあるので、自動ブレーキのシステムはついているに越したことはないだろう。人間の認知力、危険回避能力には限界があるのも事実だ。今後新車には自動ブレーキが義務化になるという話も浮上している。

ただし、自動ブレーキを過信してはいけない。自動ブレーキが付いているからといって、注意が散漫になり、スマホの画面が気になるということはないだろうか。

まずはドライバーが100%コントロールするという意識のもと、万が一の場合自動ブレーキがアシストくれるのだと考えて運転を心がけたい。自動車メーカーの技術の向上とドライバーの意識を変えることで、交通事故ゼロ社会を目指すことも可能なのではないだろうか。(モータージャーナリスト 高橋大介)

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