有給休暇,有給消化率,働きすぎ
(写真=Creativa Images/Shutterstock.com)

「有給休暇 国際比較調査2016」が発表され、対象の28カ国・地域中、日本の有休消化率は50%で、3年ぶりに最下位であることが分かった。1位はブラジル、フランス、スペイン、オーストリア、香港で、有休消化率100%という結果だ。

調査はエクスペディア・ジャパンが毎年インターネットで行っているもので、対象国は日本、アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、ブラジル、韓国など世界28カ国の9424人。

日本の有休消化率は50%

この調査では「休み不足を感じている人の割合」についても調べている。こちらもランキングにすると日本が最下位で、「休み不足を感じている」という人は34%しかいない。

一方、1位のスペインでは68%、2位の韓国では65%の人が休み不足を感じている。ちなみに、日本の有休付与日数は最大で20日だが、スペインでは30日、韓国では15日だ。

この2つの調査結果からは、「日本人は有休消化はしないけれど、休みが足りないとは感じていない」ということが分かる。

また、「自分の有休支給日を知らない人の割合」の調査では、日本はダントツだ。実に47%の人が自分の有休日数を把握していない。2位は韓国21%、3位はオーストリア15%と続くが、日本の数字は突出している。エクスペディア・ジャパンは「休みに無頓着な日本人」と表現している。

日本人が「休み不足を感じていない」「休みに無頓着」という側面は確かにあるだろう。なぜそうなってしまったのか。それは、日本に「有給休暇を積極的に消化する」という風土がないからではないだろうか。

[参考サイト]
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000130.000003373.html

欧米の休暇制度は参考になるのか

ニューヨーク在住ジャーナリストの安部かすみさんが、2016年7月の自身のコラムで「ニューヨーカーの有給休暇とその過ごし方」について書いている。

コラムでは、「無制限休暇制度」のあるIT企業勤務Eさんが休暇を利用して猫カフェをオープンした話や、「ワーク&ライフ・プログラム」という休暇制度を利用して3カ月間の週休4日制を実現させたSさんの話を紹介している。安部さんは、「日本人もアメリカ人も、一生懸命に働くためには、一生懸命に休暇を取ることが必要だ」と結んでいる。

同じように日本の企業が休暇制度を充実させたなら、日本人はもっと休むようになるのだろうか。また、現在、日本では有休取得を義務化する動きがあるが、労働者の権利を義務化することで、はたして改善されるのだろうか。

早稲田大学の黒田祥子教授は、「時季指定権が労働者側にある日本では、職場に対する遠慮から労働者が休暇を申し出にくい雰囲気が醸成されやすい」と述べている(2014年10月の「THE PAGE」より)。

実はヨーロッパ諸国では、休暇の時季指定権は企業側にあるという。「年の始めに、誰がどの時季に長期休暇を取得するかを決定するのが慣例」で、「企業側は休暇を取る時季が分散するよう、休暇取得の時季を労働者に指定できる権利を持っている」のだそうだ。事前に休暇のスケジュールが分かるので、バックアップ体制も整備しやすい仕組みになっている。

冒頭のエクスペディア・ジャパンの調査によると、日本人の「有給取得に罪悪感を覚える人の割合」は59%にのぼる。「休みを取らない理由」をたずねたところ、1位「人手不足」、2位「職場の同僚が休んでいない」という結果となった。やはり、黒田教授の言うように「職場に対する遠慮」が大きく働いているようだ。

「遠慮」という言葉はとても優しい表現だ。実際に働いている人の生の声を聞くと、「有休を取らないのではなく、取れる環境にない」「下請けや中小企業は仕事量が多く休めない」「有休を申請すると嫌みを言われる。白い目で見られる」などの具体例が出てくる。

[参考サイト]
http://bylines.news.yahoo.co.jp/abekasumi/20160716-00059402/

https://thepage.jp/detail/20141018-00000006-wordleaf?page=1

http://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20161027-00000016-zuuonline-bus_all&s=lost_points&o=desc&t=t&p=1

働きやすい環境や風土づくり

前出の黒田教授は、日本では個人の仕事の分担が曖昧であるという点にも言及し、「いつ誰が休んでも仕事が回るようなバックアップ体制を整備しておくことが不可欠」だとしている。人手不足が深刻な職場では難しい話だと思うかもしれないが、それを見越した採用活動や制度づくりを行っていく努力が、企業には必要なのではないだろうか。

「バカンスを楽しむ国へ変わっていくためには、制度だけでなく職場の働き方も併せて変えていく必要がある」とする黒田教授の話は、明るい未来を想像させる。「バカンス」と「日本人」という取り合わせにはいささか違和感があるが、1カ月の休暇をとってもすんなり職場に戻れる風土が生まれれば、産休や育休から戻るときの置いて行かれた感覚や後ろめたさも薄れるに違いない。

法律や制度に縛られるのではなく、慣例や諸外国の例にとらわれるのではなく、誰もが働きやすい環境や風土が自発的につくられていく未来を望みたい。祝日を増やさなければ休みをとることのできない日本人のままでは、大勢は変わらない。(渡邊祐子、フリーライター)

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