東芝,上場廃止
(写真=PIXTA)

経営再建中の東芝 <6502> が新たに数千億円規模の特別損失を計上する恐れがあると、12月27日に一部メディアが報じた。同社はこの報道に対し、同日の取締役会終了後に結果を発表するとしている。

今回報じられた損失は、原子力事業を手掛ける米子会社ウェスチングハウス社が2015年末に買収したCB&Iストーン・アンド・ウェブスターの資産価値を巡るもの。前期にも原発事業で約2500億円の減損を計上しており、バランスシートの更なる悪化が警戒される状況だ。

去る12月19日に東京証券取引所は、東芝に対して特設注意市場銘柄の指定を継続すると発表した。ここでは、東芝に対し下されている「特設注意市場銘柄」とはどのような措置なのか、そして今後どのようなことが起こり得るのかを改めて見ていこう。

利益水増しが大型経済事件に発展

東芝は、家電や半導体をはじめ重電機、重工業分野にも事業を広げ、巨大産業グループを形成する。世界的な知名度を誇り、我が国を代表する大企業の一つだ。2008年度以降の約7年間で東芝は、利益を累計で2000億円以上水増ししたことが発覚し、企業社会のコンプライアンスに背いた大型経済事件に発展、日本経済を揺るがした。

この不正会計問題が発覚した東芝に対し、東証は昨年9月15日に特設注意市場銘柄に指定した。以降、東芝に対し法令遵守の体制づくりを求めてきたが、さらなる取り組みの徹底が必要として、指定を継続する今回の判断を下したものだ。

上場廃止基準に抵触した企業に対し「指定」

それではまず、特設注意市場銘柄とはどのようなものなのかを知る必要がある。これは上場廃止基準に抵触した企業に対し、廃止には至らなかったものの、内部管理体制などを改善する必要性が高いと取引所が考えた場合、投資家へ注意喚起するために指定する銘柄のことを指す。

この制度が取り入れられたのは2007年にまでさかのぼる。「開示するべき情報を企業側が隠蔽した」、「有価証券報告書などに虚偽を記載した」など、上場企業としてしてはいけない行為をすると「特設注意市場銘柄」に指定されるように定められた。それ以前は、違反した企業に対する取引所のペナルティーは、上場廃止しかなかった。

「上場廃止」とは、企業に対する上場市場からの退場宣告だ。だが、ルール違反を犯しても上場廃止にまでは至らず、それを理由に取引所が批判されるケースもあったという。そこでいきなり「退場」ではなく、一定期間を猶予としておき、それで更正できるかどうかを確かめるようにした制度が、特設注意市場銘柄なのだ。新聞などの株価欄では一般銘柄とは区別して「特設注意市場銘柄」コーナーに掲載されて、企業としては不名誉な状態だ。

なお指定された上場企業は1年経過後、取引所へ速やかに「内部管理体制確認書」を提出しなければならない。そして「内部管理体制確認書」の内容などに基づいて審査が行われ、改善したと取引所が判断した場合には、特設注意市場銘柄の指定が解かれて通常の取引銘柄に戻ることができる。

対して、特設注意市場銘柄指定後の1年以内に内部管理体制などについて改善が行われず、今後も改善の見込みがないと取引所が判断した場合、また特設注意市場銘柄指定後、1年6カ月以内に改善されなかった場合には上場が廃止となるのだ。

これまで上場廃止になったのは12社

特設注意市場銘柄制度の歩みをもう少し詳しくみてみよう。まず記憶に新しいところでは2011年に巨額損失隠しが露見したオリンパス <7733> も「特設注意市場銘柄」に指定された経験を有する。ちなみに特設注意市場銘柄の指定を最初に受けたのは、IHI(旧石川島播磨重工業) <7013> だ。

現在に至るまで、特設注意市場銘柄に指定されたのは30社あまり。そのうち現在、指定中の5社を除き、25社中で指定解除になったのは13社で、12社では上場廃止となった。さらに上場廃止12社のうち審査によって取り消されたのは3社となり、残り9社は民事再生手続きに移るなど、審査結果前に上場廃止された。

審査によって上場が取り消された3社では、創業者への不正な資金流出が指摘されたり、社内のコンプライアンス意識が著しく欠如していたりするなど、上場企業として不適切な実態が理由にあがった。

東芝にとっての最悪のシナリオは?

このように最悪の場合、企業生命を奪うおそれもある特設注意市場銘柄制度だが、東芝が指定解除を受けるまでの道のりは、決して平坦ではないといえる。

東芝が9月、上場する東証、名証に提出した報告書は、示された内部管理体制など改善策では不十分と審査され、東芝に対し来年3月15日以降、報告書を再度提出するように要求した。

当初、東証は来年3月を目途に上場維持か廃止かの判断を出すと思われた。しかし東芝は子会社での売上高水増しが見つかったと11月に発表し、これを受けて特設注意市場銘柄の継続を決めたといわれる。

大企業・東芝に対する取引所の判断は大変に厳しいものだ。東証は、来年3月15日に東芝を上場廃止の可能性がある監理銘柄に指定するとし、さらに再提出される報告書で内部管理体制などの改善が認められなければ上場廃止と、東芝にとっては最悪のシナリオも考えられる状況なのだ。東芝が東証と共に上場している名古屋証券取引所も同様の措置をとった。特設注意市場銘柄の指定が継続されたままでは増資など資金調達もままならず、東芝が進めている財務状況改善にも遅れが生じる。

今回の特設注意市場銘柄の指定継続を受けて東芝は「当社は内部管理体制等の確立に努め、特設注意市場銘柄の指定解除に向けて、全社一丸となって最大限の努力をしてまいります」とコメントを発表している。東証の判断は来年度前半になるといわれており、それまでに法令遵守を徹底した改善策が打ち出せるかどうか、東芝は正念場を迎える。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)