日経平均予想ジ レンジ 18,812 ~ 19,325 円

今週は、欧米での重要イベントを前に強含みの円相場や欧米株安が嫌気され、日経平均は12/8以来18,650円まで売り込まれる場面が見られた。その後、イエレンFRB議長発言で米長期金利が上昇、ドル高進行を好感して心理的節目となる19,000円台を回復した。

海外の焦点

注目の英国メイ首相の演説は、3月末までにEUに正式離脱を通告する意向で、これにより原則2年間の離脱条件について交渉が始まる。EU単一市場から脱退する方針を表明し、最終的な離脱案については議会の承認を求める考えを示したこともあり、強硬な離脱の可能性に備えてきたマーケットは想定内と冷静に受け止められている。ただ、メイ首相が新しいEUとの関係を白紙の状態から描いていく考えを示唆したことで、離脱交渉で互いの利害が激しく衝突するのは必至で、交渉の長期化は避けられそうにない。

一方、米国ではトランプ氏が掲げた金融規制緩和や大型減税、巨額インフラ投資への期待から、NYダウは史上最高値(19,996ドル)を付けたトランプ相場だが、足元では5日続落と様子見気分が強まっている。それだけ、20日の就任式でトランプ氏が経済政策でどのような方針を示すのかに市場の注目が集まっているかが窺える。

テクニカル面

日経平均は、今回の自律調整局面では、18,500円近辺が下値目処となりそうだ。テクニカル面で5日線が25日線を下抜けるデッドクロスを形成した上、12/21高値と1/5高値のダブルトップ形成は短期的な下値模索を示す形状と想定される。ただ、トランプラリーの巻き戻しによる値幅調整は良い水準に来たと考えられる。

11/10からの上昇過程で空けた6つの窓のうち、上の3つは3日連続で空けた三空。11/18には二空目の18,765円を埋め切ったが、「三空踏み上げは売り向かえ」の格言に従えば、一空目の18,502円(12/7)まで埋めに行く可能性はあろう。しかし、この水準はPER15.8倍となるためバリエーション面での割安感は強い。相場が下がった所では、日銀のETF買いや3月期末に向けての自社株買いも期待できそうで、好業績銘柄には押し目買いの好機となりそうだ。

来週の株式相場

以上、来週の株式相場は、米大統領就任式後は、現実的な政策への取り組み期待を背景に、調整一巡感から自律反発を試す局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は1/11の窓埋め19,325円が意識され、下値は1/17安値18,812円が目処となろう。

株式相場見通し1-20

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト