日経平均予想ジ レンジ 19,000 ~ 19,615 円
今週は、東芝の決算発表見送りや米大統領補佐官辞任報道で日経平均は19,232円まで下落する場面が見られた。その後、イエレンFRB議長証言を受けた円安進行を好感して戻りを試したものの、節目の19,500円が上値抵抗線となり週後半は伸び悩む展開となった。
海外の焦点
米国株はトランプ新政権の大型減税措置など政策期待を背景に史上最高値を連日更新した。トランプ大統領は税制に関して、3週間以内に「目を見張るような発表を行う」と表明。選挙戦から公約に掲げていた大型減税の具体案が示されるとの期待感から市場はリスクオンの地合いとなり、トランプ相場再加速の様相を強めている。
イエレンFRB議長は議会上院で、早ければ次回3月のFOMCで利上げに踏み切る可能性を示唆した。早期利上げ観測はネガティブだが減税期待に支えられ、米株価は堅調な推移が予想される。
国内の焦点
注目の日米首脳会談は、為替問題や自動車問題など懸念された問題が無難に通過し、日経平均は1カ月ぶりに一時19,500円を回復した。会談後の両首脳の言動も友好的だったことで、市場には安心感が広がっている。
会談では懸念された為替通商問題での衝突は避けられた上、麻生副総理とペンス副大統領をトップとした、新たな経済対話の枠組み創設で合意したことを受け、今後は両氏のもとでの協議進展が期待される。
一方、2016年4-12月期企業決算発表は一巡した。市場が期待していた円安に伴う企業業績押し上げ効果は限定的であったが、おおむね良好な決算内容といえる。ちなみに日経平均のEPSは1,234円(12/14)と2015年12月以来の水準となった。当時のドル円相場は120円台前半の大幅な円安であったことを鑑みると、今回円安支援がなくても収益を上げられる企業が多くなった点は評価される。
来週の株式相場
テクニカル面では、昨年12月以降上値意識された節目の19,500円手前で伸び悩む印象は強い。ただ、売買代金は2兆円を超えエネルギーは健在であり、短期的には方向感が示されるまで、19,500円と25日線19,116円との間での膠着相場が想定される。
以上、来週はトランプ大統領の施政方針演説や予算教書での税制改革の発表に関心が移っており、膠着相場を抜け出す材料待ち局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は1/5高値19,615円が意識され、下値は節目の19,000円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト