Money
(写真=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

国民の義務とはいえ、税金による支出は最小限におさえたいと考える人も少なくないだろう。法律に従いながら、控除や経費を上手に利用すれば、節税は可能である。ここでは、知っておきたい節税について、特に贈与税に焦点を当てて解説する。

節税の種類

節税の概念は、大きく「利益の繰り延べ節税」「永久的節税」「先行投資の節税」の3つに分けられる。

「利益の繰り延べ節税」とは、納税時期を後にずらす方法で、当面の節税に有効とされる。あくまで納税額を将来に持ち越しているだけなので、直接的な納税額の圧縮には繋がらないものの、将来の納税時期に、現在よりも税率が低下していれば間接的な節税となる。将来的な法人税減税や所得税減税の可能性が高ければ、利益を繰り延べるメリットもありそうだ。

「永久的節税」とは、税額控除や経費の見直しなど会計処理によって節税する方法である。これが本来、節税と呼べるものである。

「先行投資の節税」とは、将来のために、人材育成・研究開発・広告などを先行して行っていき、費用を支出していくことを言う。この瞬間はキャッシュを生まないものの、優秀な人材を育成して事業を拡大したり、広告を打って潜在顧客を獲得したりすれば、将来的な利益を見込むことができる。決算が近づき思った以上に利益がでる場合も有効な手段ではあるが、本当にその先行投資が必要かどうかは十分に吟味する必要がある。

節税のやり方

節税の方法として有効なのは、経費を見直すことと、所得控除を見直すことに大別できる。経費については、パソコンや交通費、電気代など、事業に必要な経費をきちんと費用として計上することで節税につながる。

また配偶者控除・扶養控除、さらには社会保険料控除・医療費控除・生命保険料控除など所得控除をきちんと利用することも節税につながる。所得からそれら所得控除が差し引かれることで課税所得が少なくなり、結果として納税額を減らすという方法だ。

贈与税の控除

ここからは贈与税について解説する。贈与税とは、個人から財産を受け取った際にかかる税金のことである。企業など法人から財産を受け取った場合には贈与税はかからず、所得税が課税される。また贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方法があるが、一定の要件に該当すれば後者を選択することができる。

暦年課税には1年間に110万円の基礎控除額が定められている。つまり1年間に受け取った金額の総額が110万円以内であれば、贈与税が課税されることはない。また婚姻期間が20年以上の夫婦の間では、居住用の不動産もしくは居住用不動産を購入するための金銭の贈与があっても、2,000万円まで課税の対象とならない。この非課税枠は「おしどり贈与」と呼ばれることもある。

贈与税にまつわる節税

贈与税とは、相続税と補完関係にあるため、贈与税の節税を行う際には、相続税のことも考慮すべきである。昨今は相続税が課税強化傾向にあり、贈与税が減税傾向にあるものの、相続税は小規模宅地の特例など大型の減税措置もある。本当に贈与による資産移転が必要なのかどうかから考える必要がある。

必要であるという結論に至ったのであれば、贈与税の基礎控除・配偶者控除をきちんと利用するなどして、なるべく早い段階から生前贈与を進め、相続財産を圧縮することもひとつの方法である。また課税対象となる財産の評価額は、時価ではなく相続税評価額となるため、その評価方法によると、一般的に現金よりも不動産が低く評価されるため、現金資産を不動産に替えておくのも有効な方法といわれている。ただし、不動産を保有することで不動産特有のリスクも存在することから、慎重な検討が必要となる。

節税について、贈与税を中心に解説してきた。合法的な会計処理によって、税金の支出を抑えることができる。詳細は税理士などの専門家と相談しながら、節税を行って頂きたい。(提供: みんなの投資online

【オススメ記事 みんなの投資online】
不動産を保有したいけど高すぎる……何か良い手段は?
「不動産の小口化」ってREITとどこが違うの?
株、債券の分散投資だけで資産は守れない? オルタナティブ投資のすすめ