crowd
(写真=ra2studio/Shutterstock.com)

インターネットを通じて資金集めができるクラウドファンディングが広まりつつある。起業家や資金提供者の双方にとって利益のあるこの仕組みについて、その種類やメリット、デメリットについて解説する。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、「人々」や「一般大衆」を意味する「Crowd」と、「資金調達」を意味する「Funding」を組み合わせた造語だ。インターネットを通じて、資金の借り手と資金の出し手をマッチングさせる仕組みを指す。個人や企業が事業のプロジェクトやアイデアを紹介し、賛同する人から資金を集めることができるわけだ。

製品を開発したり、イベントを開催したりするには莫大な資金が必要となるのが普通だが、クラウドファンディングを利用すれば、従来の資金調達の方法と異なり、インターネットによって不特定多数の資金提供希望者に対して、投資を呼びかけることが可能だ。資金提供者一人当たりの出資額が比較的少額で済むため、幅広くの方から資金調達を受けることができる方法として注目を集めている。

無事にプロジェクトが実行された場合、製品開発企画やイベントの立案者は、クラウドファンディングのサービスの運営者に対して、調達した額の5%から20%を手数料として支払うのが一般的である。また近年では、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の発展に伴い、個人によって立ち上げたプロジェクトの告知が比較的容易になったこともあり、クラウドファンディングによって資金調達しようとする動きが活発になってきている。

その種類と仕組み

クラウドファンディングは、大きく「購入型」「寄付型」「投資型」の3つに分けられる。まず「クラウドファンディング購入型」とは、支援者から前払いで集めた資金を元に事業を行うものだ。支援者に完成した商品やサービスを提供する仕組みであり、プロジェクト自体が魅力的であるかどうかが重要となる。

「クラウドファンディング寄付型」では、webサイトなどで寄付を募り、資金を集める。資金提供者はニュースレターや簡易な品が送られることはあるものの、基本的に寄付への見返りは発生しない。災害・途上国支援など公共の高い案件で利用されることが多い。

「クラウドファンディング投資型」とは、仲介事業者を介して、資金提供者が出資を行う見返りに、事業から得られる利益の配当を受け取るものをいう。小口での出資も可能なため、従来では難しかった個人に対しても広く開かれているのが特徴だ。スタートアップ企業や不動産への投資などによく利用されている。

それぞれのメリット、デメリット

「購入型」における資金提供者にとってのメリットは、自分自身が欲しいと感じた商品やサービスをいち早く手に入れることができるという点にある。ただしその商品やサービスが出資した金額と等価の関係にあるという保証はない。また商品・サービスが提供されるまでに時間がかかることや、そもそも商品・サービスが受けられないリスクを抱えなくてはならない。

一方、起業家にとっての最大のメリットは、手元の資金を確保してから商品開発を行えることにある。ただし、ネット上でプロジェクトを公開することになるので、アイデアが盗用されるリスクがあることは理解しておきたい。

「投資型」における資金提供者にとってのメリットは、プロジェクトの成功によって配当が期待できる点だ。一方、出資の見返りに未公開株式を受け取る場合、取引できる場所がないため売却が難しく、換金する方法が限られているというのがデメリットだ。

起業家にとっては、比較的容易に資金を集められるというメリットがある一方、「購入型」と同様、アイデアを広く公開するというリスクを抱えることになる。

仕組みの理解がプロジェクトの成功につながる

起業家は、商品やサービス、目的によって3つのうちどの方法にするか、ほぼ決まってしまう可能性もあるが、プロジェクトを成功に導くために、自らの企業がどのサービスに適しているのかを考慮しなくてはならない。資金提供者も、投資家としてリスクを把握し、どのサービスを選ぶにしても、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解したうえで参加することが求められるだろう。(提供: みんなの投資online

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