日経平均予想ジ レンジ 19,224 ~ 19,869 円

今週は、週初めの円高が嫌気され、日経平均は一時19,000円を下回る場面が見られた。その後、28日のトランプ米大統領の議会演説が無難に通過し、NYダウの21,000ドル突破や円安進行など、外部環境の改善を追い風に、2015年12月18日以来の高値水準19,668円まで上昇した。

海外の焦点

注目のトランプ米大統領の施政方針演説では大規模な減税や1兆ドルのインフラ投資を実施すると表明したものの、減税規模など具体策は先送りされ、従来の発言内容が踏襲された印象は強い。市場では、政策の実現性に対する不透明感は残ったままだが、今後は3月中旬にも議会に提出される予算教書までに政策が煮詰まってくるのか、具体的な内容を見極める姿勢は続きそうだ。

一方、NY連銀のダドリー総裁は、昨年11月以降の信頼感の回復や財政刺激策への期待感を踏まえ、「FRBが利上げを行う根拠は、今かなり高まっている」との見方を示した。3/1発表の2月ISM製造業景況指数は57.7と2014年8月以来の高水準となり、早期利上げ観測を後押しすることとなりそうだ。

市場の関心は、大統領議会演説から予算教書や3月FOMCでの利上げの有無に移行するにあたり、これまで続いていたドル安、円高の流れに変化が出てくるのか注目される。

国内の焦点

3/1財務省が発表した2016年10-12月期法人企業統計では、設備投資は全産業で前年比3.8%増、経常利益は16.9%増の20.75兆円と過去最高となった。足元では、円安と世界経済の回復を追い風に増産傾向が続いており、引き続き輸出環境が下支え要因になると予想されるだけに、国内企業の来期業績への高まりが期待される。

NT倍率は、1/4の12.60から12.43(2/24)に低下し、ボトム圏を示唆している。ドル円相場が117円台(1/5)から112円台へ円高が進み、輸出関連株の低調な値動きがNT倍率の縮小に影響したと思われる。米利上げ観測が高まり、再びNT倍率の拡大が見込まれるタイミングに差し掛かったと考えられる。

来週の株式相場

テクニカル面では、昨年12月からのもち合い局面を脱し、新たな上昇相場入りが期待される。1/5高値19,615円を抜いたことで、2万円付近まで上昇余地は広がっている。

以上、来週は良好な外部環境を背景に、3月期末、2万円の道筋を探る局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は一昨年12/18高値19,869円が目処となり、下値は25日線19,224円が意識されよう。

株式見通し3-3

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト