3月10日、北京で記者会見を行った中国人民銀行の周小川総裁は、人民元の安定に楽観的な見解を示すかたわら、中国企業の負債が過剰に膨らんでおり、改善には時間を要することを認めた。

中国経済は昨年6.7%の成長を維持していたが、国有銀行による融資やインフラ投資の拡大に依存してた部分が大きい。

企業負債の対GDP比がほかの新興国の3倍に

記者会見は全国人民代表大会に合わせて行われた。中国では2015年夏の切りさげ以降人民元安が進み、外貨準備の急減、不動産バブル、民間負債など、不安材料が山積みだ。

ロイターなどの報道によると、周総裁は記者会見で構造改革の効果や経済安定を理由に、今後人民元が安定相場にはいると自信を示した。

しかし金融機関以外の企業負債が過剰に膨張している点に強い懸念を示し、「短期的効果は期待していない」としながら、引き続き解消に向けて取り組んでいく意向を明らかにした。負債額が巨額なため、中期的効果を予想している。

国際決済銀行が昨年11月に発表した第1四半期のデータでは、中国債の対GDP(国内総生産)比は45%、家計負債は41%。対する非金融系企業負債は169%にまで膨張。ほかの新興国の平均が58%であることを考慮すると、その負債規模の深刻さが痛感できる。

2016年の総体的な負債の対GDP比は277%に達し、異例の速度で増え続けている。国際通貨基金(IMF)は昨年末、銀行倒産や成長失速が生じる警告を発した。

銀行融資の需要が現在もおとろえていないことに対し、周総裁は「過度の流通は経済に有害な結果をもたらす」と述べた。成長率目標は6.5%に下方修正された。アナリスト間では「中国政府が構造改革にどこまで本腰をいれるか」という点で疑問が生じているようだ。(ZUU online 編集部)

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