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投資を始める
Written by 山中 伸枝 10記事

ど素人が始めるiDeCo(3)

確定拠出年金は一体いくら得する? 「働き方、年収別」メリット比較

iDeCo,確定拠出年金
(写真=PIXTA)

トリプル税制優遇で老後の資産形成を強力にバックアップする仕組みのiDeCo(イデコ)は、働き方や年収によって節税メリットの上限が異なる。自分の場合はどのくらいの節税効果が望めるのか確認しよう。

一番節税効果が高いのは自営業者

iDeCoは立場により、毎月の掛金の上限が決められている。その金額が最も大きいのが自営業者などの第一号被保険者だ。第一号被保険者というのは公的年金の被保険者区分で、第二号被保険者である会社員・公務員、その配偶者で年収130万円未満の人が該当する第三号被保険者以外のすべての人が対象となる(第一号被保険者の中でも、国民年金保険料の免除を受けている人はiDeCoの加入者になることができない)。

第一号被保険者の場合、会社員と異なりそもそも国民年金にしか加入ができないため、老後の生活保障は極めて薄い。そのため、公的年金を補完する役割であるiDeCoの掛金は月6万8000円までと最も高く設定されている。

iDeCoは最低掛金5000円からスタートし、1000円刻みで好きな掛金を決めることが出来るが、第一号被保険者の場合この掛金上限額は、国民年金基金や付加年金といったiDeCoと同様の上乗せ年金制度と併用する場合は合算となる。

第一号被保険者の場合、iDeCoの掛金は確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」の経費として所得から差し引く。したがって、節税メリットは、「年間掛金×負担する所得税率の最も高い率(限界税率)+年間掛金×住民税率10%」で求めることができる。

ご存じの通り、日本の所得税は超過累進課税になっているため所得段階により税率が異なるが、iDeCoの掛金は最終の課税所得から差し引くことが可能なので、負担する所得税率の最も高い率(限界税率)を掛けることでその節税額を算出することができる。住民税の所得割はどこの自治体でも10%だ。

仮に限界税率が10%であれば、住民税と合わせて年間掛金×20%が節税メリットとなる。月6万8000円、年間81万6000円の掛金に対して、節税メリットは16万3200円であるからかなり大きな税金の戻りだ。

もちろん稼ぎが多く、所得税の負担率が高ければ高いほど、iDeCoの節税メリットは大きくなる。最高所得税率は45%であるから、住民税の10%と合わせ、最も得する人はiDeCoの掛金の55%が税金の戻りとなる。

会社員は企業年金の有無により節税メリットが異なる

会社員の場合、掛金上限額は勤め先の福利厚生制度により異なる。

企業年金といって、その会社独自の上乗せ年金制度がある会社に勤めている方は月の掛金上限は1万2000円だ。厚生年金基金や確定給付企業年金がこれにあたる。公務員の年金制度も企業年金に相当する上乗せがあるので、掛金は同様の1万2000円だ。

企業年金がない会社に勤めている場合、月の掛金上限は2万3000円だ。福利厚生が少ないため、その分自助努力により税金が免除になる特典が大きいのだ。

会社で確定拠出年金企業型に加入している場合は、会社がiDeCoの併用を認めた場合に限り加入できる。iDeCoにも関心がある場合は会社に聞いてみよう。

さて、掛金上限が分かったところで個別の税制メリットがどの程度あるのかは、会社員の場合は、源泉徴収票を利用すると分かりやすい。

給与所得の源泉徴収票

まず①の「給与所得控除後の金額」から②の「所得控除の額の合計額」を引き、課税所得を算出する。そして、その課税所得を次のテーブルにあてはめ自身の限界税率をチェックする。

【課税される所得金額/税率】
195万円以下/5%
195万円を超え330万円以下/10%
330万円を超え695万円以下/20%
695万円を超え900万円以下/23%
900万円を超え1800万円以下/33%
1800万円を超え4000万円以下/40%
4000万円超/45%

仮に課税所得が300万円であれば、限界税率は10%となるから、税制メリットは掛金合計額×10%で計算ができる。

具体的な手続きとしては、年末調整の際に国民年金基金連合会(iDeCoの取りまとめをしているところ)から送付される「小規模企業共済等掛金控除証明書」を提出すると会社が還付される税金を計算して12月の給与に上乗せして支払ってくれる。会社への提出を怠ると自分で確定申告をしなければならないので、忘れずに証明書を提出しよう。

住民税についても、掛金合計×10%の税金が安くなるが、こちらは翌年から徴収される税金で調整されるので、特に手続きは不要だ。

年収のない専業主婦は働くことでメリットを拡大する

お気づきのように、そもそも年収のない専業主婦はiDeCoの「掛金全額所得控除」という税制メリットを享受することはできない。よく専業主婦の場合は所得のある夫から妻のiDeCoの掛金分を控除できると勘違いされる方もいるのだが、前述した通り「小規模企業共済等掛金控除」は加入者のみの控除となるため、夫が代わりに税制優遇を受けることができないので注意したい。

したがって、年収のない専業主婦がiDeCoを検討する場合、その税制メリットは、運用益非課税と受取時の税制優遇に限定される。次回のコラムで触れるが、iDeCoの場合は「加入する時」、「加入している間」、ずっと手数料を負担するので、それが重く感じられる場合はiDeCoではなくNISAも考えたい。

NISAとは少額投資非課税制度で、iDeCoと同様運用益に対する税金がかからない仕組みだ。運用期間が5年と限定的であるが、2018年からは積立NISAも始まり選択肢が更に増える。こちらの運用益非課税期間は20年となる予定なので長期運用に適している。

NISAはiDeCoと異なり、掛金が所得控除にならないのだが、そもそも所得控除メリットがない専業主婦であれば、NISAでも同じだ。一方のNISAはiDeCoと違って手数料負担がない商品が増えてきており、むしろ良い選択肢かも知れない。

パートで働く主婦は、もう少し収入を増やしてiDeCoを活用したい。例えば、年収103万円の非課税枠内(基礎控除38万円、給与所得控除65万円)で働いている場合、月2万円多く働いてそのお金をそのままiDeCoに回そう。年収は127万円となり、非課税枠103万円を24万円超えてしまうが、その全額がiDeCoによって所得控除となるため、結果として税金の負担がない(ただし住民税は年収100万円以上から課税される)。

さらに年収130万円以内なので、今まで同様扶養の範囲内となり、本人が社会保険に加入する必要がない。2017年については夫の配偶者控除から外れるので、若干増税になるになる点は注意が必要だが、これも2018年から配偶者控除が年収150万円まで拡大されることにより、その増税によるデメリットも十分吸収できるだろう。

節税メリットより、資産形成のゴール設定を

iDeCoは税制優遇が大きいため、つい「いくら得するのか?」にばかり注目してしまいがちだが、本当に大切なのはいくらの老後資金をいつまでに作るかという資産形成のゴール設定だ。ゴールを見失うことなく、上手に税制優遇を活用したい。

山中伸枝(やまなかのぶえ)
確定拠出年金相談ねっと代表 ファイナンシャルプランナー(CFP®)
1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後メーカーに勤務。これからは自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、FPを目指す。著書:「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書(インプレス)ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本(翔泳社)他

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