日経平均予想ジ レンジ 19,390 ~ 19,869 円
今週は、堅調な米2月雇用統計を受けた米国株高の流れを引き継ぎ、日経平均は週初19,656円の年初来高値に進んだ。その後、FOMCやオランダ総選挙を前に買い手控え気分が強まる中、米利上げ決定による円高・ドル安が嫌気されたが、相場への影響は限定的であった。
海外の焦点
注目のFOMCで、FRBは政策金利を0.25%引き上げ0.75~1.00%とすることを決定した。利上げは昨年12月以来でトランプ政権発足後、初めてとなる。今年の利上げ回数は3回を想定し、2018年も3回を見込むなど、米金融政策は正常化に向けてさらに前進することとなる。今後の利上げは緩やかなペースにとどまると示唆したため、FRBはトランプ政権の不透明性に配慮して慎重になったとの見方は強い。
国内の焦点
米利上げを受けて、米長期金利が一段と上昇すれば、ドル高・円安が進み、日経平均も上昇しやすくなるとの思惑は期待外れとなった。もっとも、一昨年に12月の利上げと昨年12月の利上げともに、利上げ後まもなく米長期金利は低下に向かい、ドル安・円高が進んだ経緯がある。このため、ドル高・円安が進むには利上げで材料出尽くし感となるのでは無く、実質金利差がさらに縮小する追加利上げ観測(米経済次第)が浮上することが求められる。次回のFOMCは5月2-3日、次々回は6月13-14日が予定されている。
景気指標では、2016年10-12月期法人企業統計は、全産業の経常利益は18.0兆円となった。2015年7-9月期のピーク17.8兆円を上回っている。当時のドル円相場は120円付近で推移していたが、10-12月期は102円台から118円に円安進行したとはいえ、企業の円高抵抗力は注目に値する。従って、今後の株価の上値追いには、円安が進むことでの先高期待や大幅増益修正への可能性は考慮しておきたい。
来週の株式相場
テクニカル面では、昨年12月から3カ月間続いているもち合い相場は徐々に煮詰まりつつある。各種移動平均線は上向きの上、上昇基調の三角もち合いにあることに変わりはない。日柄調整は十分で、目先的には上値19,600円が意識されるものの、25日線を下値サポートにレンジ脱出を探る局面と捉えている。
以上、来週は日米欧の重要イベントを無難に通過し、国内企業業績に関心が移る中、配当権利取り狙いの好機と見ている。日経平均のレンジは、上値は一昨年高値19,869円が目処となり、下値は25日線19,390円付近が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト