韓国航空大手アシアナ航空が設立したLCC(格安航空会社)エアソウルは3月27日、仁川-富山線の運航を再開する。韓国聯合ニュースが報じた。週3往復で繁忙期の4月中旬から月末まで2往復増便の予定だ。
北九州に拠点をもつスターフライヤーも3月31日から務安-北九州線を運航するが、韓国の格安航空会社ティーウェイ航空も務安-北九州線を運航している。全羅南道の関係者は「務安国際空港は中国路線への依存度が高かったが、北九州を皮切りに日本はもちろん東南アジアまで拡大したい」と話しているという。
中国から日本へシフトする航空会社
観光業界の関係者によると、韓国の航空各社は中国路線を減便し、日本路線に振り替えているという。米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍への配備に対する報復措置として、中国政府が自国の旅行会社に韓国旅行商品の取り扱いの中止を指示したことで、中国路線の利用者が激減しているのだ。
大韓航空は年3月16日から翌4月23日まで、韓国と中国を結ぶ8路線79往復を減便。アシアナ航空も3月15日から4月30日まで中国便12路線を90往復減便する。格安航空会社ジンエアーは済州-上海便を週7便から週4便に減らし、済州-西安は運休。ティーウェイ航空は5路線の運航を一時中止し、イースター航空も複数路線の一時中止を発表している。
断念した日韓路線もある。チェジュ航空は仁川空港と福島空港を結ぶチャーター便の就航計画の中止を明らかにした。仁川空港と福島空港を結ぶ路線はアシアナ航空が運航していたが、東京電力福島第1原発事故以降、運航を休止したままだ。
チェジュ航空は福島空港や韓国外交部が公開する放射線測定値を元に安全に問題がないとして、福島空港へのチャーター便を計画したが、「フクシマは汚染されている」という風評で乗務員やチェジュ航空の別の路線を利用する乗客からも懸念の声が上がり、仙台空港への変更を検討するという。
客層の多様化を狙う
韓国有数の観光地である済州島は、THAAD報復で3月20日時点での外国人旅行者は中国人を筆頭に昨年同期53万1195人から50万3768人と5.2%減ったが、231万2708人だった国内旅行者は251万6902人と8.8%増え、トータルで6.2%増えた。中国人団体客の増加で、済州島はホテルの予約が困難になり、宿泊費も高騰していた。済州島への旅行を避けていた国内旅行者が回帰したのだろう。
済州道は游客(中国人団体観光客)一色だった外国人観光客を他の国に拡大し、国内観光客の訪問も最大化する対策を打ち出している。日本や台湾、東南アジアに対する観光マーケティングを強化し、直航便やチャーター便の拡充を計る。2017年度中に4カ国6路線の定期航空路線を開設し、日本・ロシア・ミャンマー・ラオス・モンゴルなど8カ国のチャーター直行便を拡充する。国内旅行は、島内で実施される祭りを活用し、済州道内の公営観光地28カ所を無料開放するなど、中国以外の“インバウンド”に取り組む計画だ。 (佐々木和義、韓国在住CFP)
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