日経平均予想ジ レンジ 18,700 ~ 19,319 円

今週は、米政権の政策運営懸念を背景にNYダウが8日間続落した上、為替が110円台前半まで円高に振れたことを受けて、日経平均は週初リスク回避的な売りが広がり、2/9以来19,000円を割り込んだ。その後は、強い内容の米経済指標を好感して、NYダウが反発した流れを引き継ぎ、一時19,200円台を回復する場面があった。


海外の焦点

米国では、トランプ大統領が掲げたオバマケアの見直しが事実上撤回された。オバマ代替案はトランプ政権にとって初めての重要法案だったが、与党共和党の意見が集約できず分裂が表面化した。

市場が期待する法人減税など税制改革や大規模インフラ投資をめぐっても、財政規律を重視する共和党内に異論が多いため、その実現性への不安が高まっている。こうした状況を踏まえ、トランプ大統領がオバマケア見直しに固執することなく税制改革にすぐさま着手する姿勢を強調したことで、政権の景気刺激策への市場の期待をつなげたといえる。

国内の焦点

東京市場は、前週末にオバマケア代替案の下院採決について楽観的な見方を織り込んで上昇したこともあり、週初の反動(276円安)が大きくなった。しかし、19,000円割れでPERは15.64倍と売られ過ぎ水準に達した上、19,200円台回復により、本格的な調整懸念は免れた格好となった。

また、3/29の3月配当権利落ち分(約132円)を即日に埋めた展開は先高期待につながりやすい。4月から新年度入りとともに国内勢の新規資金の流入に加え、2、3月期決算企業の業績発表が始まることで、堅調な企業業績を背景に投資意欲が強まる可能性はありそうだ。もっとも外部環境の不透明感が払しょくされていない状況下、一段の円安やトランプ政権による景気刺激策の着実な実行が望まれる。

来週の株式相場

テクニカル面では上昇中の75日線に対し、下降中の25日線が接近してきた。3/31現在59円に縮小し、相場がここで足踏みすると両線のデッドクロスが形成され調整気分の強まりやすい形状悪化が懸念される。ただ、早目に25、75日線を上回ることで、再度上昇相場への期待は膨らんでくる。

以上、来週の注目材料は、米国では3月ISM製造業景況指数(4/3)、3月雇用統計(4/7)などの経済指標が焦点。国内では、3月日銀短観(4/3)、2月景気動向指数(4/7)が注目される。日経平均のレンジは、上値は25日線19,319円が意識され、下値は、もち合いの下限水準18,700円付近が目処となる。

株式見通し3-31

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト