投資家の間で「テンバガー(Ten bagger)」と呼ばれる銘柄があります。テンバガーの「bag」は野球の「塁」の意味で、1試合に10塁打するくらい驚異的な状況が由来になっているそうです。株価が10倍以上値上がりすることを指す言葉で、発掘できると大きな利益につながります。
今回は、テンバガーを発見するためのヒントを探ってみました。
2016年の一年間で株価が10倍になった銘柄は?
2015年12月30日終値に対する2016年12月30日終値の上昇率の計算では、残念ながらテンバガーは存在しませんでした。ただし、ジー・スリーHLDは約4.9倍、平田機工は約3.6倍、安川情報システムは約3.5倍、日本色材工業研究所は約3.2倍と、大健闘したものもあります。
一方で、一年間にテンバガーと株価が10分の1になる逆テンバガーの両方を経験した銘柄もあります。ブランジスタは、2016年2月12日に最安値1,130円をつけたのち、わずか3ヵ月後の5月16日に1万5,850円の高値を記録し、テンバガーを達成しました。しかし、9月2日には1,481円の安値となり、4ヵ月で株価が10分の1以下に下落してしまいました。
いずれも2016年の一年間という短期間で見た実績です。以降はもう少し長期的な視点で追いかけてみましょう。
テンバガー候補は新興市場×話題のテーマ株で
たとえば、眼鏡ブランドのJINSで知られるジェイアイエヌの株価は一時期39円でしたが、2015年8月に6,460円の値をつけ、テンバガーどころか数百倍も値上がりしました。
また、ユニクロやGUを手掛けるファーストリテイリングは、2007年9月の5,970円から2015年7月には6万1,970円と約10倍でこちらもテンバガー銘柄です。こうした銘柄はどうやって見つけるといいのでしょうか。
東証一部にもテンバガーを実現した銘柄はいくつもありますが、一般的に時価総額が大きい銘柄は大化けしづらい傾向にあります。新興市場をメインに、時価総額が1,000億円以下の銘柄を狙うのがいいかもしれません。前出の2016年に上昇率が高かった銘柄のほとんどが1,000億円以下で、ジー・スリーHLDは94.1億円でした。
とはいえ、多くの銘柄からテンバガー候補を探すのは一苦労です。前出の安川情報システムは、産業用ロボットなどを手掛ける安川電機の子会社、平田機工はエンジニアリング会社で有機ELや半導体製造装置なども手掛けています。これらに代表されるIoT関連株にはテンバガー候補が眠っている可能性があります。また、AIや東京オリンピックに向けた建設および社会インフラ関連銘柄、円安が進んだ場合はインバウンド関連銘柄にも注目です。
初心者が抑えておきたい「将来性」のチェック方法
誰でも簡単に実践できる基本的な事項をおさえて、絞り込みを行っていきましょう。
まず、株価チャートで重要なのは長い期間で右肩上がりのトレンドになっていることです。持続的に成長できる力がないと、その後の爆発的な成長は期待できません。
併せて行いたいのが、『会社四季報』の内容を読み込むことです。今期の業績見通しについてのコメント部分がわかりやすいでしょう。ポジティブな内容であれば投資候補に、逆に「減額」などのネガティブな言葉が見られる場合は要注意です。
また、四季報の「業績」欄には過去5期分の業績結果と未来の2期分の業績予想が掲載されています。ちなみに「会」がついているのは、会社側が公式に発表している数字ですが、「予」だけが表示されているのは出版元である「東洋経済新報社の記者の予想」です。これは投資家目線のデータとして参考にしたい数字です。
そして、銘柄選びに最も大切なのは、その会社の事業に確固たる価値があるかどうかを投資家自身が判断することです。前出のジェイアイエヌは、ブルーライトカットなど機能性の高い眼鏡の開発が市場に評価され、株価の上昇に大きく寄与しました。
企業ビジョンや商品・サービス力を見極め、銘柄を選んでいきましょう。 (提供: IFAオンライン )
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