モバイルに注力するバイドゥ

政府による規制によって最大の競合であったGoogleが参入できなかったとは言え、国内にも数々の競合がいた中でバイドゥが成長出来た原動力はその技術力にあります。李彦宏CEO北京大学を卒業後にニューヨーク州立大学に留学しており、米インフォシークにて検索エンジンの設計や画像サーチエンジンの開発に従事しています。1997年にバイドゥのテクノロジーの土台となる検索アルゴリズムに関する特許を取得しています。そして最近では、売上げの2割を占めるようになったというモバイルの最適化に向けて舵を切っています。今までブラウザにて提供していた各種サービスのスマートフォン、タブレットへの対応を行った他、もちろんiOS、Androidに向けて数十種類に及ぶアプリを提供しています。ユーザー数については2014年中にモバイルがPCを抜くのではないかと語る幹部もおり、今後もモバイルのシェアを伸ばして行くものと思われます。

海外でのシェアは伸ばせるのか

今後も中国のインターネット人口の増加とともに、バイドゥの拡大が予想されますが、中国以外にも進出を図っています。現在は日本、韓国、インド、ベトナム、タイなどのアジア各国にてサービスを展開していますが、中国以外の国々ではGoogleの独壇場となっている国が多いため苦戦が強いられるでしょう。もう一つ懸念されるのは、昨年日本で起こったバイドゥが無償配布していた日本語IMEから入力した文字列が、無断でサーバーに送信されていたのではないかという事件です。バイドゥから個人情報を利用情報として扱っておらず、収集した情報も蓄積されていない、という発表があったものの、日常使いするサービスであるからこそ懸念が残る結果となりました。百度のコアバリューは、「简单可依赖」と言って、シンプルで信頼性が高いという意味になるそうです。この理念を掲げるからには、ユーザーの不安を払拭するサービスを保って欲しいものです。また、最近では次世代の検索を模索するためにAI(人工知能)専門の研究機関を立ち上げ、スタンフォード大学に在籍し、Googleの深層学習チームの設立を担当したアンドリュー・ヌグ氏をチーフサイエンティストとして招聘しています。今後はGoogleに勝つことの出来る次世代検索システムの構築がカギとなるでしょう。

最大の競合であるGoogleが政治的事情により参入を諦めたという要因があるものの、確かな技術力で成長を遂げてきたバイドゥ。今後のカギは、中国国内でのモバイルへの注力と、現在進出しているアジア各区において、どうGoogleと差別化を図るかがカギになりそうです。

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