個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo)元年とも言える2017年は、厚生労働省に加えて金融庁が確定拠出年金を積極的に後押ししている点がこれまでと大きく異なる。金融庁もiDeCoを長期的な資産形成手段として期待しているのだ。

リスクといかに上手に付き合うか、iDeCoでの資産形成において重要な投資信託の選び方について解説しよう。

運営管理機関によって差がある運用商品の数

iDeCo,確定拠出年金
(写真=PIXTA)

iDeCoは運営管理機関によって運用商品の設定数に違いがある。最も運用商品が多い運営管理機関はSBI証券でその商品数は65本だ(2017年4月20日現在)。

平均的な運営管理機関が設定する運用商品数は20~30本のため、2倍違うことになる。その内訳はいわゆる定期預金などの元本確保型が4本、元本変動型の投資信託が61本ある。

運用商品の選択肢があまりにも多くなると、かえって人は「選択しなくなる」といった声もあるため、65本を適切な運用商品数と考えるかどうかは判断が分かれそうだ。

最も現在証券会社などを通じて販売されている投資信託は約6000本と言われている中、iDeCoで選べる投資信託は通常30本程度という設定ではあまりにも少なく、満足できないという人もいるだろう。

しかし、投資信託での運用にこれまで縁がなかったという方にとってはこの本数でもハードルが高いと感じるだろう。最も運用商品が少ない運営管理機関がさわかみ投信の3本だ。内訳は元本確保型が1本で投資信託が2本。さわかみ投信のWEBサイトによると、加入者の方針により運用商品を3タイプ選べるようにしているそうだ。

まず、「元本割れが絶対イヤ」という方には定期預金。「お金を増やすというより物価上昇に負けたくない」という方には物価連動国債ファンド、こちらは物価に連動し資産価値も増減する運用商品だ。そして最後が「ある程度リスクをとってお金を増やしたい」という方は投信会社の冠であるさわかみファンドが設定されている。「さわかみ投信」という会社を信頼し、お金のことをお任せしたいというような方にとっては、このくらいすっきりした商品構成も受けるのだろう。間違いなく今までにない新しいタイプの運営管理機関だ。

さわかみファンドは、運用会社が直接投資家に自らが運用する商品を販売する「直販投信」の草分けである。その哲学に共感するファンも多いので、毎月の積立額の増額のためにiDeCoを活用したいという方には格好のプランだ。ただし現在さわかみファンドは100%日本株、日本円での運用なので、海外の経済成長も取り入れたいという場合は、別にNISAなどで海外に投資をする投資信託なども考える必要がある。

MYDCもさわかみ投信同様に4本と少ない商品数となっている。同社WEBサイトによると、定期預金1本、投資信託3本のラインナップとなっており、THEOと呼ばれるロボアドバイザーが運用する。

投資信託はコンセプトにより3種類から選ぶことができる。まず世界の株式に投資をする「THEOグロース・ファンド」、世界の債券に投資をする「THEOインカム・ファンド」、そして貴金属やエネルギー、農産物や不動産などに投資をする「THEOリアルアセット・ファンド」だ。

それぞれのファンドは2017年3月に設定されたため、過去の実績を見る事ができないのが残念だが、ロボアドバイザーという新しいスタイルに魅力を感じる人はいるはずだ。質問に答えることで、最適な組み合わせを提示してくれるため、自分で選べない人にとっては価値を感じるだろう。

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