子どもの権利の保護・改善に対する世界163カ国・地域の取り組みを評価した「子どもの権利指数(2016年版)」 で、日本は31位となった。

トップのノルウェーをのぞいて総体的に順位の入れ替わりが見られ、「経済的豊かさや発展度は、子どもに最適な環境を保証するものではない」事実がランキングに反映されている。その一方で、子どもの基本的人権を保護する目的で定められた国際条約「子どもの権利条約」が十分に遂行されていない国・地域が、徐々に増加傾向にあることに対する懸念も浮上している。

「子どもの権利に積極的に取り組んでいる21カ国・地域」 と前年のランク (現在公開されているもののみ)

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

19位 マルタ 0.887ポイント
19位 キューバ 0.887
19位(25位)タイ 0.887
17位 オーストリア 0.892
17位 ベルギー 0.888
15位 ラトビア 0.892
15位 ルーマニア 0.892
14位 スウェーデン 0.897
13位(2位)オランダ 0.904
12位 ドイツ 0.915
11位 英国 0.919

10位(9位)チュニジア 0.921
9位(8位)フィンランド 0.923
8位(10位)フランス 0.936
6位(7位)アイルランド 0.938
6位(5位)スロバキア 0.938
5位 スイス 0.944
4位(6位)スペイン 0.951
3位(4位)アイスランド 0.958
2位(3位)ポルトガル 0.960
1位(1位)ノルウェー 0.981

日本の弱点は子どもの意見を尊重する「権利環境」

「子どもの権利指数」は5つの主要領域(社会生活・健康・教育・保護・子どもの権利環境)に加え、23の指標のうち達成できていない課題にも焦点を当て、総合的に評価したものだ。

日本は「社会生活」と「教育」で、ほぼ満点のスコア(0.998、0.997)を獲得し世界1位。「保護」では6位(0.994)という快挙を成し遂げたものの、「健康(0.979)」は16位と一気に評価がさがる。
最大の難点は「権利環境(0.500、101位から121位)」で、オーストラリアやニュージーランド、デンマークなどの先進国と並んでワーストに近い評価だ。この領域でベストに選ばれたノルウェー(1.000)やポルトガル、タイ(各0.917)といった国と、どこがどう異なるのだろう。

権利環境は7つの指標(非差別・子どもにとって最善の利益・子どもの意見の尊重・権利に対する法の履行・最適な予算・集約されたデータの収集と分析・国家や市民社会の協力)で構成されている。
残念ながら各指標の分析結果は掲載されていないため憶測の範囲となるが、日本を含め評価が低かった国・地域もこの領域に取り組んではいるものの、水準に達していない面が多いということになるのだろう。

子どもの権利改善に向けた、より効果的で実用的なフレームワークが課題

高水準な教育や社会福祉制度で有名な北欧圏から、トップ3に選ばれたのはノルウェーとアイスランドだ。フィンランドやスウェーデンは上位にはいっているものの、「権利環境」の整っていないデンマークの総合順位は日本より低い39位という結果に。

前年2位から大幅に順位を下げた蘭を筆頭に、経済先進国における子どもの権利への取り組みの低下が目立つ。ルクセンブルク(56位)、カナダ(72位)、イタリア(81位)などの例を見るかぎり、子どもの権利を確立するための取り組みは成されてはいるが、効果をあげていないのは明白だ。より効果的で実用的なフレームワークの再構築が、今後の課題となるだろう。

毎年レポートを発表しているKids Rights Foundationの創設者、マーク・デュラート氏は、「22億人にもおよぶ子どもの意見を十分に尊重している国・地域がない」 と、各国で取り組みを強化するよう呼びかけている。

最も評価が低かったのは、中央アフリカ共和国、アフガニスタン、バヌアツの3カ国だ。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

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