住宅ローンなど、金融機関からの借り入れで家などを買うと、火災保険に質権が設定される。全半壊などで支払われた保険金は金融機関が受け取ってローンに充当し、加入者は残った金銭を受け取る。家財保険は金融機関などが質権を設定することはなく、全額を受け取ることができる。

火災保険も見直しが必要?

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(写真=Lisa S./Shutterstock.com)

火災保険に共済を含めた世帯加入率はおよそ85%で、家財保険には統計データはないが、民間機関のアンケートでは60%となっている。

そして昨今の火災保険は再調達価額が主流だ。再調達価額とは同等のものを建築あるいは購入する金額を上限に保険金が支払われる方式で新価方式ともいう。従来の保険は時価方式が主流で、同等のものを新たに建築または購入する金額から経年による減価償却を差し引いた額を上限に保険金が支払われる。築年数によっては保険金が支払われても新しく家を建てることができない。新価方式は、減価償却はないが物価上昇は考慮されない。

同等品価格が購入時より低下している場合、購入時価格ではなく、事故が起きたときの新価が支払い保険金の上限となる。パソコンなど価格の価格低下が著しいが、購入時の価格は考慮されず、事故が起きた時点の客観的な価格が基準だ。価格の低下により実質的に超過となった保険料は返還されない。

住宅の建築価格は近年、大きな変動がないが、家を増改築したときなど見直しは必要だ。住宅の増改築で免責や構造が変わることがあるからだ。

家財保険の評価額は40歳夫婦と子供2人の世帯は1200万円強が平均

家財保険の評価額は、明記物件や客観的に確認できる資料があれば、その金額が上限となり、客観的な資料がない場合は家族構成が基準だ。保険会社によって多少の差はあるが、世帯主40歳、夫婦と子供2人の世帯は1200万円強だ。

民間のアンケートによると家財保険の加入金額は300万円から500万円で半数近くを占めている。建物の保険は評価額に対して加入保険金額が少ないと支払われる保険金は比例配分となるが、家財保険は加入額が評価額を下回っても比例配分されることはない。

建物は、評価額が4000万円で加入保険金が3000万円の場合、1000万円の損害が生じると支払われる保険金は比例配分によって750万円と費用保険金のみ。だが家財保険は評価額1000万円に対して加入保険金額が500万円で、100万円の損害が出たとき、100万円を上限に支払われる(価格変動を考慮しない場合)。

賠償責任も家財保険と一緒に考えると良い。日本は失火責任法によって、過失で近隣に類焼したときの賠償責任は免れるが、借家だと家主に対する賠償責任は生じる。賃貸住宅は家財保険に借家人賠償責任を付帯することができる。日常生活における第三者への賠償責任保険も家財保険に特約で付帯すると、単独で加入するより保険料が安く設定されている。

火災保険の請求期限には時効がある。保険法で3年となっているが、保険会社が独自に定めている。保険が出ないと思っても更新時に相談したら受け取ることができた例も多い。家財保険は短期で加入するケースが多く見直しが容易である。上手に活用したい。(佐々木和義、CFP)

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