中国連鎖経営協会(CCFA)は2016年5月中旬「中国連鎖百強」ランキングを発表した。これは「快速消費品」のチェーン運営企業、要するに主要スーパーとコンビニのランキングである。トップ10企業と日系企業を見ることで、中国小売業の今後を展望してみよう(1元=16.2日本円)。

トップ10企業の売り上げ、店舗数と業務内容

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中国のウォルマート店内(写真=Sorbis/Shutterstock.com)

10位 農工商超市
276.6億元/2317店/コンビニ「好徳」を運営

9位
物美商業
299.0億元/566店/北京初の総合スーパー WU MART

8位
歩歩高
321.5億元/590店/広東省・東莞市本社、本業は電子機器の製造販売

7位
中石化易捷
351.0億元/2万5000店/北京本社、中国石油化学グループ。コンビニ「易捷」を運営

6位
カルフール中国
504.8億元/319店/フランス・カルフール系、中国法人は多数。1995年より中国進出。

5位
永輝超市
544.1億元/487店/福建省・福州市本社、生鮮に強み、発展中の注目企業

4位
聯華超市
597.9億元/3648店/上海に本社、一時期は中国最大の小売り企業だった

3位
ウォルマート中国
766.9億元/439店/米国のウォルマート系。中国法人の実態不明瞭。1996年より中国進出

2位
大潤発
939.9億元/368店/台湾の潤泰集団系、上海大潤発有限公司の設立により1997年から中国進出

1位
華潤万家
1034.95億元/3224店/国有企業の華潤集団系。万家超市、万象城(モール)などを運営

日系は5社

81位
ローソン中国
17.3億元/1003店(79.5%増)/ローソン系、1996年進出、上海、重慶、大連、杭州、北京

42位
イトーヨーカ堂中国
60.0億元/8店/7&i系、1996年四川省・成都進出、2004年北京進出

38位
ファミリーマート中国
65.8億元/1810店(20.6%増)/ファミリーマート系、2003年進出、上海、蘇州、広州など

26位
イオン中国
111.7億元/56店/イオンチャイナの下、北京・天津、山東省、広東省中心に展開

なおセブン-イレブンは番外で推計値が載っている。売上57.6億元、店舗数は1371(242.8%増)である。イトーヨーカ堂中国とセブン-イレブンの売上を足せば117.6億元となりイオンチャイナを逆転する。日系コンビニはセブン-イレブンとファミリーマートの2強が争う。

イートイン人気でセブンが伸張

このデータでは個々の同規模前年比は分からないのが欠点である。

しかし全体の動向は記載されている。それによると100社の中で売上を落としたのは24社であった。76社は横ばいまたは売上を伸ばしている。また店舗数では33社が減少した。7社は増減なし、他の60社は増加した。

国家統計局発表の社会消費品小売総額、2017年1〜4月の伸び率は10.2%である。ただしネット通販の伸び率は32.0%(実物商品は25.9%増)と全体を大幅に上回っている。小売総額に占めるシェアも12.9%と高い。

大都市部ではとっくににオーバーストア状態にある。ネット通販の大幅な伸びも継続している。実店舗企業の争いは激化し、2017年の売上減少企業は24社からさらに増えそうである。日系は店舗数大幅増のコンビニの戦いに注目だ。イートインスペースを提案したセブン-イレブンが大幅に店舗数を伸ばしている。今年はさらに伸ばすのか、それとも停滞するのか、正念場となりそうだ。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)