ユーロ下落のリスクに対する懸念 が、専門家の間で高まっている。政権の混乱で下降傾向の米ドルを尻目に独走するユーロだが、いずれ反転するのではないかとの不信感が根強い。
2016年12月中旬には1.04ドルにまで落ちこんだユーロだが、2017年4月に入り1.06ドルに上昇。その後じわじわと勢いを伸ばし、6月には1.13ドルにまで回復。ブルームバーグの「欧州中央銀行(ECB)が最新の経済予想でインフレ率を下方修正する」という報道などを受け0.2%下落。その後一時的に0.7%安まで落ちこんだ。ECBは報道通り、2019年のインフレの見通しを1.6%(0.1ポイント減)に引き下げた。
こうした中過去数カ月にわたるユーロ・ラリーを「不可解な現象」として受けとめている、ドイツ銀行のストラテジスト、ジョージ・サラヴェロス氏は、ユーロが1.05ドル(約115.84円)まで下がると予想している。
政治的リスクの弱まりと予想以上に底堅い景気に後押しされ、ユーロの快進撃は2007年と2014年の水準に達しているものの、ドイツ銀行が採用している金利格差やエクイティ市場のパフォーマンスなどを指標とする通貨相関モデル(相関係数に基づく解析法)は、警戒レベルに達しているという。
サラヴェロス氏は短期的な見解では、「ほかの市場に影響をおよぼしにくい裏づけとなる要素が、ユーロを支えていることも考えられる」が、中期的には「低迷が長引いたことがユーロを押し上げた可能性も否定できない」としている。
対してモルガン・スタンレーは一部の懸念を楽観的に受けとめており、2018年第2四半期までにユーロが1.16ドル(約128.04円)まで上がる と予想を引き上げた。ブルームバーグによる予想調査の中央値は1.13ドル(約124.73円)となっている。