◉短期のモメンタムよりは長期優先


しかしながら、私個人の意見では、ここ数年で一番改善しているVIX指数が示唆する様に、マーケット全体に広がる安心感などから予期してない出来事(予期してないからパニックになるわけで、現状では地政学的なリスクの急な高まりなどでしょうか?)に対しての脆さはかなり厳しいものになると思っております。積極的に短期のモメンタムを取りに行こうというよりも、日本を問わず米国株やアジア株も含め長く保有するに値する銘柄だけを選択して拾っています。

(編集注:VIX=Volatility Indexは別名恐怖指数と呼ばれており、数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされている指標です。シカゴ・オプション取引所が、S&P500を対象とするオプション取引のインプライド・ボラティリティ(価格の変動幅)を元に算出しています。現在は低下気味であり、投資家が相場環境の先行きに対して安心感を持っているといえます。)

参考: VIX恐怖指数チャート



◉円安メリットの享受の仕方


ただ敢えて、一つだけ付け加えるとするならば、海外に住んでおり月1回ペースで日本を訪問する私の立場からすると、円安のメリットは非常に大きいものと感じています。それは、例えば「銀座の美味しいお寿司が15%安く食べれる」ということもそうなのですが、現在大きな買い物をしたい外人からすると、不動産価格を始めとする日本のあらゆる資産はかなり魅力的に映ってくるということです。ここから更にアップサイドを取るのであれば、しつこいようですが不動産株が早いのではという気がしてしまいます。

参考: 日本の不動産ってどうなのよ?~高騰する海外市場との比較より~

とは言え、ここから更にマーケット全体があまり調整をせずに、強烈なラリーを展開されてしまうと、債券中心で作ってきた私のポートフォリオでは太刀打ちもできないために少し困ってしまうのが本音ですので、非常に悩み深い局面ではあります。なお、ZUU-ONLINEには定期的にマーケットへの見方はアップデートしていこうと思っておりますので、はたして私が儲かっているのかそうでないかは随時感じて頂けるものと思われます。

◉アジアのプライベートバンカーのダイナミズム


さて、やっとここからが、今回のタイトルに関わってくるのです。

最近よく感じていることは、「アジアにおいては、優秀なプライベートバンカーは、優秀なインベストメントバンカーになりうる」ということです。「じゃあ日本ではどうなの?」という疑問が思い浮かぶであろうとは思いますが、経済が発展して上場会社におけるオーナー経営者で既に世代交代が起こっている日本では、少し状況が違うかもしれません。

参考: 「創業社長VSサラリーマン社長」~アジアの富裕層ビジネスから見えてきたもの~

もちろん、コンプライアンスの厳しさの度合いも関係しているのですが、私の顧客あるアジアの資産家の方々は、顧客である彼ら自身が自ら経営する上場会社の最大株主であるケースが多いため、普段のお取引だけでなく、M&A、資金調達に関する話も、普段の会話の一環で、私に話をされるケースは少なくありません。彼らは、私のことをバンカーだと認識してくれていますが、そこにインベストメントバンカー、プライベートバンカーという線引きをされていないことが多いです。

私からするとそれは当然でありながら理想的な状況であります。お客様が一番仲良くしているバンカーに「何の株を買えばいいのか?」と同じ目線で「この会社を買いたいんだけど?」と聞くという状況は想像に堅くないものと思われます。

ですから、日本の会社がアジアで買収対象や提携先を探しているという時に私が窓口になって橋渡しをしている事は多々あります。
(日本のバンカーは担当がころころ変わってしまうため、お客さんとしっかりした関係を築くのが難しいという事も影響があるとは思いますが。)

アジアでプライベートバンカーを務めるということは、マーケットへの造詣を深められる事は当然として、それ以上のより広範囲のビジネスを自分で構築するチャンスがあるという事です。
私自身も米国のビジネススクールを卒業後にアジアでのプライベートバンクビジネスという道をえらびました。もし、ビジネススクールを終えたばかりで就職先に悩んでいる若者がいれば、私はアジアでバンカーになるという道はお奨めするかもしれませんね。

BY N.S

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