前二回のエントリーでは、シンガポールの不動産について触れてきました。今回は高騰するアジアの不動産市場との比較から、日本の不動産市場にまで踏み込んで考えてみたいと思います。

参考: シンガポールの不動産事情 QE3(資金供給)とシンガポール不動産

最近、仕事上でもプライベートでもシンガポールや日本を問わず不動産マーケットについて考えなくてはならないことが多くなっています。

アセットクラスの一つとして株、債券などに手を出しづらいこの環境下では、私が知っている限りシンガポールなどの富裕層と呼ばれる人たちは、ほぼフルキャッシュで(まだまだ)不動産を買っているというのが現状のように思われます。


アジア・シンガポールの富裕層にとっての不動産

いわゆるシンガポールなどのアジアの投資家たちは、自分が土地勘のあるマーケットにおいては多少低い利回りに目を瞑っても、継続的にポジションを増やしています。香港やシンガポールでは3%以下の利回りでも不動産価格は下がる気配を見せておらず、クアラルンプールで4%強、台北などでも強烈に不動産価格が値上がりをしているため、3%くらいの利回りまで下がっています。

ちなみに、私は大まかな富裕層向けのマンションを念頭において、この話をしています。世間では不動産バブルという声も聞きますが、彼らが不動産を買う理由というのが極めてまっとうすぎるため、この状況はバブルではないのでは?というのが私の思うところです。

彼らにとって、金利が低い、だから預金にいれても仕方ない、本業のキャッシュフローは好調、でもインフレは常に3~4%といった環境です。どうせ長持ちできれば(彼らは無理なレバレッジを効かせて買いません)プライスは上がるでしょ?というスタンスであるため、実は数字的な見た目ほどバブル感はないのではないかと思い始めています。

確かに、買うべきマーケットは考えなくてはいけないと思います。中国なんかは一番手を出しづらい環境でしょうし、各国政府も定期的に価格上昇を抑止する政策を出し続けるでしょう。その度にマーケットはネガティブに反応するのでしょうが、何度も申し上げてる通り、投資家は無理をして買っていません。