医療保険とひとことに言っても、「民間の医療保険」と「公的医療保険」があることをご存じでしょうか。公的医療保険とは、会社勤めの人であればいわゆる「3割負担」の健康保険のことです。「公的医療保険に加入しているから、病気やケガへの備えは万全」と思っている人は、今一度、医療保険制度について確認してみた方がいいかもしれません。

医療保険の分類

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(写真=amenic181/Shutterstock.com)

医療保険は、「民間医療保険」と「公的医療保険」に分類されます。

民間医療保険とは、民間の保険会社が提供する医療保険のサービスで、加入は任意となっています。さまざまなタイプの保険があるので、自分で加入する保険を選択することができます。公的医療保険の補充として利用する場合が多いようです。

一方、公的医療保険制度は、相互扶助精神に則り、病気やケガで入院した時や、通院した時に必要な治療費の一部を保障しています。長期に入院せざるを得ない場合や、高額な治療費が必要な場合の費用負担を軽減することが目的となる制度もあります。これを、高額療養費制度といいます。

医療保険制度には被保険者によって種類が異なり、サラリーマンが加入する「健康保険制度」と、自営業の方や年金生活者、無職の方などが加入する「国民健康保険制度」、公務員が加入する「共済組合」、75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」に分類されます。

必ずいずれかの保険に加入することになるので、「国民皆保険」とも呼ばれています。医療保険は国が保障する社会保険制度で、万が一のときにも安心して生活できるようなセーフティネットとしての役割があります。

年齢と負担額の変化

医療保険制度における負担額は、年齢によって異なります。75歳以上の高齢者が1割、70~74歳の高齢者は2割負担です。7?69才は3割負担のままですが、義務教育就学前の子どもは2割負担に軽減されました。また、どの年齢においても1ヵ月の医療費負担が高額にならないように、高額医療費制度があります。

これは、たとえ3割負担であっても高額な治療費となる場合に利用することができるものです。たとえば、標準報酬月額が28~50万円の場合で、1ヵ月の治療費が8万100円を超える場合、8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%が自己負担の限度額となり、それ以上かかった場合には還付される仕組みとなっています。

公的医療保険でカバーできる治療

公的医療保険は全員加入となっていますが、一定の内容のみの保障となっています。その保障だけでは不安な部分を、民間の医療保障でカバーすることがあります。たとえば、がんのリスクに備える「がん保険」、先進治療が必要な治療に備える「先進医療保険」などは、公的医療保険では対象外となる部分を保障してくれます。

公的医療保険でカバーできる保障としては、一般的な病気やケガで入院した場合の入院費(差額ベッド代や食費等を含まない)、外来治療の治療費、薬代の費用となります。病気やケガの程度によっては高額な治療費になり、入院が長期化する場合には入院費以外にも負担する金額が大きくなります。

また、医療技術的に高度な治療を受ける場合にも費用負担が大きくなります。決して公的医療保険があれば大丈夫というわけではなく、民間の医療保険も組み合わせて検討する必要があるでしょう。

医療保険制度を理解して賢く活用する

病気やケガで入院した場合に、頼りにしていた公的医療保険の対象外の費用があることに驚くかもしれません。公的医療保険は一般的な外来や短期間の入院のみならいいのですが、長期の入院や高額な治療費が必要なケースは対象外となる部分があります。そのような事態に備えて、民間の医療保険も検討することをおすすめします。(提供: 保険見直しonline

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