日経平均予想レンジ19,673~20,096円
今週は、NYダウが最高値を更新したものの、米国の金融政策の方向性を見極めたいムードが強まり、日経平均は4日続落から6/1以来の安値水準、19,755円を付けた。その後、14日のFOMC結果を受けて、円安方向に振れたことが支援材料となり、週末には一時、2万円を回復した。
海外の焦点
注目のFOMCでは、FRBは政策金利を0.25%引き上げ、年1.00~1.25%にすることを決めた。利上げは3月以来で今年2回目となる。又、FRBは保有資産を年内に圧縮する方針を示し、2017年の利上げを計3回と従来通りの想定を維持した。市場では、足元の軟調な経済指標からは想定通りに3回目の利上げができるかどうか、半信半疑的な見方が広がっている。
FRBが利上げに踏み切ったにも関わらずドル安、円高が進んでいるのは、米国の消費者物価上昇率が鈍化し、米国債利回りが低下していることが背景といえる。物価上昇率鈍化は国際商品指数(CRB)の下落基調と連動している。特に、CRB指数は世界景気の拡大にも関わらず、下落基調を続けており、FRBが政策変更する際、雇用と並んで物価を重視しているため、結果的に政策金利とCRB指数には連動性が見られる。従って、CRB指数が今後も下落基調を続けると9月の追加利上げの確率は小さくなり、FOMC後もドル安、円高基調が持続するリスクがある。
国内の焦点
6月に入り、日経平均の2万円台乗せによって、ドル円離れの動きを見せた。6/2、110.40円から6/7には一時109.09円まで円高が進んだが、日経平均は2万円を挟んだもみ合いに推移した。これには、EPS1,400円PER14倍前半の割安感が意識された。だが、懸念されるのは、ドル安、円高進行から企業の想定レート108.43円に近付き、これを下回ることで業績の下方修正リスクが台頭し、日経平均の予想利益1,400円に不安が生じる点には留意しておきたい。
テクニカル面では、5月末相場同様25日線が下値支持線として機能している。中期的なトレンドは、中長期移動平均線が上向きを維持し、上昇基調に変化はないものの、短期的なもち合い形状の煮詰まり感も出ているだけに、25日線を明確に割り込むと調整が長引く懸念が生じる。
来週の株式相場
以上、来週は米イベント通過後の米長期金利やドル円相場を睨み、方向感を探る展開と捉えている。日経平均のレンジは、上値は6/9高値20,096円、下値は5/31窓埋め19,673円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト