毎年1回、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」は、どこを見たらよいのだろうか。よくわからないという人も多いのではないだろうか。ここでは、ねんきん定期便で確認すべき5つのポイントについて解説する。

ねんきん定期便の種類

年金,年金定期便
(写真=PIXTA)

ねんきん定期便は、国民年金および厚生年金保険の加入者に、年金の加入の状況を伝え、誤りの発見や年金制度に対する理解を深めることを目的としている。

ねんきん定期便は、50歳未満の場合と50歳以上の場合とでは内容が違う。50歳未満の場合、①これまでの年金加入期間、②これまでの加入実績に応じた年金額、③これまで納めてきた年金保険料の総額、④これまでの納付実績に応じた年金額、⑤直近1年間の保険料の納付状況が記載されている。他方、50歳以上の場合、50歳未満の人に記載されている「これまでの納付実績に応じた年金額」に代わり「老齢年金の見込額」が記載されている。

なお、年金受給に必要な期間を確保するために節目となる35歳、45歳、59歳については、より詳細なねんきん定期便が送付される。具体的には、これまでの国民年金保険料の納付状況、厚生年金の標準報酬月額と保険料納付額の月別状況などが記載されている。また、加入記録に漏れや誤りがあった場合に提出する「年金加入記録回投票」も添付されている。節目年齢以外に郵送されるねんきん定期便はハガキ形式だが、節目年齢に郵送される年金定期便は封書形式になる。

ねんきん定期便の見方

(1)加入期間

「1.これまでの年金加入期間」に記載されていのは「国民年金(a)」や「厚生年金保険(b)」の加入期間だ。ここでは、加入期間に間違いがないかを確認する必要がある。

次に「年金加入期間合計」に「合算対象期間等」を加算したものが「受給資格期間」で、受給資格期間が120月ないと老齢年金は受け取れないので、自分が要件を満たすのか確認し、足りない場合には後どれ位必要なのか認識しておくことが大事である。

(2)保険料納付額

保険料納付額は、これまでに納めた国民年金と厚生年金の保険料の累計額が記載されている。累計額のため金額を見てもピンとこないと思うが、加入期間月数で割れば支払ってきたおよその保険料がわかるので、心配であればざっと計算してみるとよい。なお、厚生年金保険の保険料は被保険者負担分のみで、企業負担分は含まれていないので、厚生年金保険料の実際の累計額はその倍の金額となる。

(3)受け取り年金額

①加入実績に応じた年金額(50歳未満の場合)
加入実績に応じた年金額は、現時点までの加入期間に基づいて、将来受け取れる老齢年金額を試算した見込金額である。つまり、これまで支払ってきた保険料額で受け取れる年金額はどれ位かがわかる。ただ、この金額はこれまで支払ってきた保険料に基づいているので、年齢が若い場合、将来実際に受け取る年金額に比べかなり少ない。ねんきん定期便を見て、これだけしか年金がもらえないのかと愕然とする人が多いようだが将来支払う保険料は考慮されていないので心配する必要はない。

②老齢年金の種類と見込額(50歳以上の場合)
50歳以上の場合、これまで支払ってきた保険料額を前提に計算するのではなく、現時点の条件で60歳まで加入を継続したとした見込額が記載される。したがって、実際に受け取れるであろう年金額を知ることができる。ここでは、金額の正誤を確認するというより、受取額を確認して自分が必要と考える金額との差額について今後どのように準備するかを考える資料として活用することが重要である。

(4)最近の月別状況

最近の月別状況には、直近1年間の各月の年金保険料の支払い状況等が記載されている。ここでは、毎月の支払額に間違いがないか確認する。最近の状況なので金額的におかしいかどうかは感覚的にわかるだろう。もし、違和感があれば給与明細で確認するとよい。

(5)詳細版での確認事項

すべてに人に該当するわけではないが、節目の年齢で送付されるねんきん定期便の内容で確認すべきポイントについて簡単に説明する。詳細版では、年金加入履歴、厚生年金のすべての期間の月ごとの標準報酬月額・賞与額・保険料納付額、国民年金のすべての期間の月ごとの保険料納付状況が記載されている。

これらの情報は、節目の3回しか送付されないので、内容を確認すると共に、大切に保管しておくこををお勧めする。なお、確認の結果、受給要件を満たしていないような場合には、受給要件を満たすためにはどのようなことができるのか検討することが重要である。

最後に、「ねんきん定期便」が届かない場合には、名前や住所変更の手続きが済んでいない可能性があるので、その場合には年金事務所に問い合わせると手続を教えてもらえる。また、年金の情報は「ねんきんネット」でも調べることができるので、興味があれば手続をしてネットで確認するというのもよいだろう。(ZUU online 編集部)