日経平均予想レンジ19,911~20,318円
今週は、米国株高に加え、111円台後半まで円安進行するなど良好な外部環境を背景に日経平均は3日続伸から6/2に付けた取引時間中の高値20,239円を更新し、2015年8/19以来となる20,318円の高値水準まで上昇した。その後は米国株安や円安一服もあり、もみ合う展開となった。
海外の焦点
米国では、NY連銀のダドリー総裁は「労働市場が引き締まって賃金が上昇すれば、インフレ率は2%に向かっていく」と強調。最近のインフレ指標の低迷を受けて、市場ではFRBは年内は追加利上げを見送る観測が高まっていた。しかし、同総裁は年内あと1回の利上げを含めた緩やかな引き締め路線継続に自信を示している。こうした前向きな発言を受けて、NYダウは21,535ドル(6/19)の史上最高値を更新した。
一方、これまで相場を牽引してきたナスダック指数は、IT関連株の急反落が影響して上値の重い展開となっている。ナスダック指数は、トランプ大統領が当選した昨年11月以降、大幅下落したのは3/21と5/17に次いで3回目となる。ただ、前2回はオバマケア見直し、ロシアゲート疑惑が売り材料視されたが、今回は金融大手のレポートがアップル、フェイスブックを割高と指摘したことで、海外筋のシステム売買による持ち高調整の売りが急落のきっかけとなった。
これまでのNYダウとの経緯を見ると、調整一巡後は共に再上昇に向かっていた。しかし、今回は5月安値からの上昇率はNYダウ+4.5%に対してナスダック指数は+2.9%にとどまっている。ナスダック指数のもたつきが、調整局面の前触れなのか、NYダウに波及するのか、見方が分かれるところだが、見極める段階に来ているといえよう。
国内の焦点
テクニカル面では、もち合い放れとなり、上値挑戦への期待は膨らむ。5/11高値19,989円と6/2高値20,239円を結ぶ延長線上の20,500円付近が高値意識される。一方、中期的な上昇トレンドは崩れていないものの、6/20高値の「上髭塔婆」出現は目先的な天井圏を示唆している。したがって、短期的には6/19の窓埋め20,087円や上昇中の25日線19,911円を下値にした自律調整局面も視野に入れておきたい。
来週の株式相場
以上、来週は6月の月例経済報告で景気の基調判断が上方修正され、良好なファンダメンタルズが下支えとなる。日経平均は年初来高値更新後の踊り場形成となり、再騰への足場固め局面と捉えている。日経平均のレンジは、上値は6/20高値20,318円が目処となり、下値は25日線19,911円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト