不動産投資で勝ち組になるために
終身雇用制度の崩壊、将来の年金制度への不安など、かつてないほどライフスタイルにおいて自助努力が求められる時代が来ている。このような時代背景から、会社員の間で副業や投資への関心が高まっている。 中でも、日銀の金融緩和の影響で金融機関の積極的な融資が見込まれ、また、東京オリンピック開幕も近づいてきたことから、東京近郊への不動産投資が人気なのだという。
しかし投資にはリスクがつきもの。不動産投資を成功させる秘訣は、事前に取り除けるリスクはできるだけ排除し、将来起こり得るリスクにどのようにして対応することを事前に準備することである。その失敗要因を事前に突き止め、不動産投資の勝ち組になるためのヒントを考えていこう。
不動産投資への知識は十分か
最近の傾向として、20〜30代の若い人たちが不動産投資を始めるケースが多い。彼らの不動産投資に対する特徴は、スピードである。ネット環境に慣れた彼らは、物件収集や情報収集などをほとんどをネット上で行っている。反対に彼らが一番嫌がるのは、営業マンからのコンタクトである。
早いケースだと情報収集開始から1か月で契約に至ることもあるようだ。不動産投資は他人より少しでも良い情報を入手することが、投資を成功させる第一歩。ある意味、情報戦でもある。しかし、不動産投資の基礎的知識もないまま、スタートしてしまっては、大やけどを負う。
不動産投資の基礎的な知識をないがしろにして物件を購入するのは、海図なしで航海するようなものである。まず、最低でも購入する物件の今後10年間の損益計算書やキャッシュフロー表を作ってみて、投資に値する物件かどうかを見極めることくらいはしてほしい。
損益計算書を作るのに必要な項目は、収入面は家賃収入、駐車場収入や自販機の販売など、支出面は、借入金利子、減価償却費、固定資産税など租税公課が含まれる。さらに長期保有を前提とする場合は、修繕に備えて積み立てを準備する必要がある。
多くの投資家は、修繕積立金をあまり重要視していない。物件の状況によっては、購入してからわずか数年後に多額のキャッシュが必要となるケースもある。事前に修繕に必要な資金を用意することはイロハのイだということを認識する必要がある。例えば毎月の家賃収入の一部を修繕積立金として運用商品で積み立てておく、などの対策が考えられる。
次にキャッシュフロー表は、今後の所有期間の間のお金の出入りを予想するものだ。損益計算書上の減価償却費の代わりに借入金の元本が入ってくる。この借入金元本と減価償却の関係がデッドクロスとともに大切な概念になる。
税金の知識も必要だ。まず個人で物件を所有する場合、家賃収入は所得税の対象となり、ある程度まとまった棟数や部屋数があれば、青色申告の対象となる。不動産投資に本腰を入れて取り組む場合、法人の設立も必要になってくるが、その場合、法人税がかかってくる。
不動産投資で特に大切なのは、購入物件の出口戦略をしっかり立てることだ。売却しやすい立地条件なのか、次の買主の立場で、償却期間も上手に使えるかなども考慮に入れる必要がある。何より大切なのは、売却価格がいくらになるか、という点だ。毎月の家賃収入と売却時の価格を総合的に計算した上で、その投資が成功かどうかを判断する必要がある。