終身雇用制度の崩壊、将来の年金制度への不安など、かつてないほどライフスタイルにおいて自助努力が求められる時代が来ている。このような時代背景から、会社員の間で副業が関心を集めている。

政府も働き方改革の一環として副業を容認し、さらに企業側もそれに呼応して従業員の副業を認める企業が相次いでいる。多くの企業が参考にしている厚生労働省の「モデル就業規則」には、一部副業を制限していると解釈できる箇所があり、厚労省はそれを見直し、副業を容認する方向に動いている。

近年のマイナス金利の影響で、金融機関の積極的な融資が見込まれ、また、東京オリンピック開幕を3年後に控え、東京近郊への不動産投資意欲が高まっている。

しかし投資にはリスクがつきもの。中古不動産のプラットホームを運営するGA technologies が20代〜 50代の男女456名を対象にした、「不動産投資動向に関する意識調査」によれば、20 代の不動産投資経験者の約4割が副業感覚で投資を始めているとのこと。

不動産投資を成功させる秘訣は、事前に取り除けるリスクはできるだけ排除し、将来起こり得るリスクにどのようにして対応することを事前に準備することである。その失敗要因を事前に突き止め、不動産投資の勝ち組になるためのヒントを考えていこう。

不動産投資の知識の絶対的不足

不動産投資,副業
(写真=PIXTA)

最近の傾向として、20〜30代の若い年代の方々が不動産投資を始めるケースが多い。彼らの不動産投資に対する特徴は、スピードである。ネット環境に慣れた彼らは、物件収集や情報収集など、ほとんどをネット経由で得ている。反対に彼らが一番嫌がることは、営業マンからのコンタクトである。

早いケースだと情報収集開始から1か月で契約まで至ることもあるようだ。不動産投資はある意味、情報戦でもある。他人より少しでも良い情報を入手することが、投資を成功させる第一歩でもあるからだ。しかし、不動産投資の基礎的知識を得ないまま、スタートしてしまう懸念もある。

不動産投資の基礎的なことをないがしろにして物件を購入することは、海図なしで航海する船のようなものである。まず、最低でも購入する物件の今後10年間の損益計算書やキャッシュフロー表を作ってみて、投資に値する物件かどうかを見極めることは必須だ。

損益計算書を作るのに必要な項目は、収入面は家賃収入、駐車場収入や自販機の販売など、支出面は、借入金利子、減価償却費、固定資産税など租税公課が含まれる。さらに長期保有を前提とする場合は、修繕に備えて積み立てを準備する必要がある。

多くの投資家は、修繕積立金をあまり重要視していない。物件の状況によっては、購入してからわずか数年後に多額のキャッシュが必要となるケースもある。事前に修繕に必要な資金を用意することはイロハのイだということを認識する必要がある。例えば毎月の家賃収入の幾分かを修繕積立金として、運用商品で積み立てておく、などが考えられる。

次にキャッシュフロー表は、今後の所有期間の間のお金の出入りを予想するものだ。損益計算書上の減価償却費の代わりに借入金の元本が入ってくる。この借入金元本と減価償却の関係がデッドクロスとともに大切な概念になる。

税金の知識も必須だ。まず個人で物件を所有する場合、所得税の対象となり、ある程度棟数や部屋数がまとまってくれば、青色申告の対象となる。不動産投資に本腰を入れて取り組む場合、法人設立も視野に入ってくるが、その場合、法人税により税額を計算する必要がある。

不動産投資で特に強調したい点は、購入物件の出口戦略をしっかり思い描くことだ。場所的に次に売却しやすいところなのか、次の買主の立場で、償却期間も上手に使えるかなども考慮に入れる必要がある。何より大切なのは、売却価格がいくらになるか、という点だ。毎月の家賃収入と売却時の価格を総合的に計算した上で、その投資が成功かどうかを判断する必要がある。

不動産投資の最大のリスクとは

不動産投資で最大のリスクは空室リスクだ。家賃収入がないにも関わらず、借入金、税金、修繕積立金などは、支払い続けなければならない。

これを回避するためには、まず、空室になりにくい場所を選ぶところから始まる。不動産投資の最大のポイントは立地である、といっても過言ではない。不動産投資で一度購入して、変えられないのが場所である。最寄りの駅からどの程度の立地か、周辺に会社や学校など賃貸需要がある立地か、など事前に調査できることは、しっかり調べることが必須である。

では、何を購入するか?

新築物件を買うか、中古物件を買うかは悩ましい点だ。新築の場合、購入金額にいわゆる「新築プレミアム」が上乗せしており、購入後にすぐに価格が下がると一般に言われている。新築物件は、中古物件と比較して修繕費は当然低く抑えられるが、それを加味してしっかりと価格の比較をしたいところだ。

また、新築物件を購入して不動産投資を始める場合、入居者探しから始めなければならない。この入居までのタイムラグは必ず確認しておかなければならないポイントだ。

銀行融資で見るべきポイント

最近のマイナス金利により、金融機関の不動産投資への貸出が増えているのは事実だ。特に地方では、地元の地方銀行が貸し出し利鞘の確保のため、融資に積極的である。しかし購入時にしっかりと頭金を入れず、借入金に頼ってしまうと、後々の返済に響いてくることになる。

変動金利の場合、将来の金利シミュレーションは必ず行っておきたい。よくあるケースは、販売業者の提携先金融機関が貸し出す場合だが、この場合、物件からの家賃収入でなく、借入人の属性で融資の可否を判定する。サラリーマンが副業として融資を受けやすい理由がここにある。しかし、将来金利が上昇し、家賃収入で賄えなくなった場合、給与収入から持ち出すことになるのだ。

以上、ここに挙げた不動産リスクは、事前に準備さえしておけば、避けられる類のものだ。副業として行う場合でも、できる限り時間をかけて、これらのポイントを見極めることが成功する鍵なのだ。

マネーデザイン代表取締役社長 中村伸一
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。

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