「人生100年時代」と言われる中、50歳はちょうど折り返し地点となる年齢だ。50歳は老後にむけた人生設計の見直時期であり、本格的な投資をするにはこれからが本番となる。

投資の時期は4つに分けられる

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(画像=PIXTA)

人生でお金に投資する場合、大きく4つのフェーズに分けると、
・第1フェーズ(~25歳):  準備段階(投資の基礎や教育をうける) 
・第2フェーズ(26歳~50歳):  発展段階(社会人として投資の経験を増やす)
・第3フェーズ(51歳~75歳):  活用段階(相続や退職金の運用や子ども等の贈与等)
・第4フェーズ(76歳~) :  始末段階(元気な時に投資を辞める準備) 
となる。

平均寿命や平均余命よりも最近注目されているのは「健康寿命」だ。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義され、都道府県ごとに公表されている。

2013年の資料によると男性の平均は71.19歳、女性の平均は74.21歳。現在年金の受給開始年齢は65歳、男性では健康寿命71.19歳なので、年金を受給してたったの約6、7年で日常生活が制限される状態になる計算だ。

また生命保険文化センターの調査では、過去3年間に介護経験がある人にどのくらいの期間介護を行ったのかを聞いたところ、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均59.1カ月(4年11カ月)となっている。介護が始まってから、おおよそ5年後に亡くなることを示している。

投資はいつ辞めればよいのか?

それでは、投資はいつ辞めればよいのか。ファイナンシャル・プランナーとして具体的な相談例を参考に考えてみよう。

●事例1:多種多様な投資信託商品を相続した60歳代女性の悩み

相談内容
投資経験豊富な父親が突然死去。相続財産には多種多様な投資信託の商品もあり、名義は変更したものの、証券会社の担当者からの訪問や運用報告書が郵送されている。投資商品内容もわからず今後どうしたらよいか相談したい。

相談者はこれまで家事や子育てが中心のため、投資経験もなく、数年前にご主人が亡くなり、一人暮らしの生活をしていた。投資信託の商品や運用実績を見たところ、一部の商品では損失もあったが、円安や株価上昇の影響でかなりの益が出ていた。

相談者は投資の勉強をする気はないとの事で、売却や子どもに生前贈与することも検討しては、とのアドバイスを行った。

●事例2:退職金を投資信託と定期預金のセットの運用プランで損失拡大させた初老の男性

相談内容
退職金をとりあえず銀行の投資信託と定期預金のセットプランの商品を購入。当初預入期間である3カ月の間は定期預金の金利が上乗せされる。3カ月を過ぎると通常金利が適用されるので、定期預金を解約するつもりだった。しかし、銀行員の勧めでさらに定期預金の解約資金で投資信託を追加購入。さらに他金融機関の資金も複数の投資信託の商品を購入した。結果として損失は拡大、どうしたらよいかを相談したい。

相談者は投資経験が少なく「分散投資」や「卵は一つのかごに盛るな」の言葉は知っていた。特定の商品だけに投資をするのではなく、複数の商品に投資を行い、リスクを分散させた方がよいという教えだが、複数の投資信託を購入する事だけが「分散投資」だと勘違いしていた。

「通貨別」「時間別」「国別」「商品の種類」等でリスクを分散することに意味がある。また投資信託の商品には商品の特性と全く関係のない名前がつけられている場合が多い。

まずは商品の特性を把握し、同じような商品であれば、運用実績や純資産残高等をみて解約したらどうかとアドバイスした。また株主優待制度でお得な株式を購入し、奥様に優待券(例えばいつも利用しているお店のもの等)をプレゼントしてみてはいかが、とアドバイスした。

投資を辞めるタイミングは誰がいつ決めたほうが良いのか?

投資することを辞めるきっかけは、個人各々条件によって異なる。自分がいつ死ぬかはわからないし、事故や地震・火事等で死ぬ事になるかもしれない。

人間は本来死ぬ事を前提に生きていない。自分だけは死なないと思っている。残された家族の事を考え、自分の投資の辞め時(精算)を模索する事も必要だ。

自分で辞め時を決められる場合は以下のような場合だ。
1.マーケット(株式や外国為替、先物)に興味がなくなり新聞や雑誌をみなくなった
2.病院で余命〇カ月と言われた。進行の早いがんや認知症が見つかった
3.身体が自由に動かせなく、視力や聴力が衰えた
4.介護施設に入居する必要が出できた。外出がおっくうになった

まとめ

企業では企業型確定拠出年金制度の導入が進み、個人でも個人型確定拠出年金(iDeCo)の活用により、普及がさらに進んできた。またNISAやつみたてNISA等の個人資産の優遇な金融税制により、投資を始めるきっかけも増えた。それに伴い銀行や証券会社等の金融機関も積極的に金融商品を販売することで、さらに投資に対して国民の理解も深まっている。

反対に投資を辞めることについては、金融機関等は業績縮小になるためかなり消極的だ。投資の辞めるタイミングや方法、考え方について記載した本や雑誌はあまりなく、投資の見直しや損切の考え方ぐらいしかない。

事例1のように高齢者が金融商品を保有している場合もある。今後ますます増える高齢者に対しての法整備や注意喚起が必要となるのは間違いないだろう。学校教育での金融投資教育を発展させ、年齢の若い時に投資の始める方法、見直す方法、そして辞める時期等を段階的に導入できればと思う。

束野浩
ファイナンシャル・プランナー (CFP(R)認定者/1級FP技能士)。平成25年FPとして独立。日本FP協会福岡支部の幹事、マンション管理組合理事長、ロングステイ同好会幹事を経験。家族への生前贈与や住宅取得資金の贈与、遺言状作成を中心に活動中。