世界的に使い勝手のよさと運用コストの低さから残高を急増させているのがETF(上場投資信託)だ。

日本でも、日経平均レバレッジ投信 <1570> や日経ダブルインバース <1357> は常に東証の株式売買代金ランキングの上位に名を連ねる。市場が下落時には、日銀のETF買いは必ず話題になる。投資にETFを効果的に使うことは当たり前になってきた。

そんなETFの中に分配型のものがあるという。分配型は日本市場では一定の人気がある。投資対象として考えてみよう。

ETFの残高が世界的に急増

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(写真=kenary820/Shutterstock.com)

ETFとは、日経平均やNYダウなど特定の指数に連動することを目的とした投資信託で証券取引所に上場しているものの総称だ。流動性が比較的高いこと、運用コストが低いことから、分散投資や機動的なポートフォリオの見直しに適した商品として世界的に残高を急増させている。株と同様に売買出来るため、信用取引や空売りが可能でリアルタイムで取引出来ることから個人投資家にも必携の金融商品となりつつある。

ETFで先行する米国で、ETF残高は17年8月末で3兆1002億ドル(約347兆円)を超え過去最高になった。17年8月までの純資金流入額も2981億ドル(約33兆円)と過去最高のペースで増えている(モーニングスター調べ)。今や外国人の機関投資家が日本株を買う場合に米国籍、日本籍の日本株のETFを買うことが主流だ。

日本でも17年9月末でETFは171本あり、残高は27兆5074億円と過去最高を更新中だ(投資信託協会調べ)。

もっとも、日本の場合はそのうち約6割の約17兆円を日銀が保有すしていると推定されている。日銀は経済対策、追加金融緩和の一環として、年間6兆円のETFの買うことになっている。

ETFで純資産残高が多いのはTOPIX連動型投信 <1306> の6兆2206億円、日経225連動型投信 <1321> の4兆9491億円だ。個人投資家に人気の高い日経レバ(日経平均の上昇時に2倍の上昇率となる設計) <1570> は1755億円、日経ダブルインバース(日経平均の下落時に下落率の2倍上がる設計) <1357> は1658億円(10月13日時点)の残高である。両ETFの売り買いが、日経平均の先物に与える影響も大きくなっている。

分配型の投信には一定の人気

投信には運用で出た収益を分配するファンドと毎月分配型など定期的に分配をするファンドがある。日本ではとりわけ分配型の人気が高い。かつては投信残高の約6割を占めており、現在は低下傾向ではあるがそれでも約4割を占めている。

日本では投信の購入者の年齢層が高く、長期の運用成績よりも、年金的な感覚で毎月の配当である分配金利回りが高いものが好まれる傾向があるからだ。日本には1兆円の残高を超えるビッグファンド(ETFを除く)が3本あるが、その3本ともが好配当の毎月分配型である。

もっとも、分配型は運用成績が上がらない場合は原資を減らすことで好配当を続けるため、価格が下がり解約時の償還金額が下がっているファンドも多いのが現状だ。

分配型投信は、本来の長期投資向けの商品ではない。分配金には税金がかかるため、税金の効率も悪くなる。長期投資の最大のメリットは複利で運用されることであり、分配型はその恩恵が少ない。森金融庁長官は分配型投信の残高を減らし、本来の長期投資、資産形成を目的とした投資を増やすよう金融界に改革を促している。ただ、高齢者層などから引き続き分配型投信に一定の人気があることも確かだ。

債券やREITで分配型のETFは珍しくない

ETFは指数連動の投信であるため、分配型があることはあまり知られていないのではないだろうか。

ETFは、一定期間の配当等の収益から費用を控除した金額を分配することが法律で決められている。日本でももっとも残高の多いTOPIX連動型投信 <1306> も7月10日に2600円を分配した。TOPIX連動型投信の場合決算は年1回だ。

世界には債券指数に連動したETFも多い。世界の債券のETFでは毎月分配はスタンダードだ。ハイイールド債などの流動性は低いため機動的なポートフォリオを組むのには債券のETFは投資家から重宝されている。債券は元来が株式よりもクーポンのウェイトが高い。株式の配当が期末に集中するのに対し、債券のクーポンが付く時期は分散している。債券指数には配当込み指数もあるが配当を込まない指数も多く存在する。

ETFは、指数を上回ることを目標とするのでなく、指数と連動することを目標としている。したがって、指数をトラックするためには、ある程度の頻度で分配金を出すことでボラティリティが低くなる。だから債券型のETFは分配の頻度が高いのだ。

日本のETFでも毎月分配型のETFが1本だけある。上場外債 <1677> が毎月分配型のETFだ。シティ世界国債インデックスに連動する事を目標としている。現在の価格は5万2800円(11月13日)で、直近10月10日の分配金は136円。年間の分配金利回りにすると3.09%となっている。

毎月分配型以外に隔月分配型では、東証リート指数連動の上場Jリート <1345> 、豪州と米国のAリート指数に連動した上場Aリート <1555> 、バークレイズ・ローカル・エマージングマーケット指数連動の上場新興国債 <1566> がある。

四半期毎の分配では、東証リート指数連動の野村REIT <1343> とSMJリート <1398> 、MSCIの日本株高配当低ボラティリティ指数連動の上場高配当低 <1399> 、シティ米国債7-10年セレクト・インデックス連動のiシェアーズ米国債7-10年ETFなどがある。

隔月、四半期ものを上手く組み合わせて分散投資すれば、毎月分配と同じような効果を出すことも可能だ。基本的にETFであれば運用コストは通常の投資信託よりも低いことが多い。毎月分配のニーズが高い投資家には、投資対象として検討してみる価値はありそうだ。

平田和生(ひらたかずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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