世界的に使い勝手のよさと運用コストの低さから残高を急増させているのがETF(上場投資信託)だ。ETFとは、日経平均やNYダウなど特定の指数に連動することを目的とした投資信託で証券取引所に上場しているものの総称である。流動性が比較的高いこと、運用コストが低いことから、分散投資や機動的なポートフォリオの見直しに適した商品として注目を浴びるようになった。株と同じように売買ができるため、信用取引や空売りも可能で、個人投資家もETFを効果的に使うことは常識になってきた。
日本でも、日経平均レバレッジ投信 <1570> や日経ダブルインバース <1357> は常に東証の株式売買代金ランキングの上位に名を連ね、市場の下落時には、日銀のETF買いは必ず話題になる。 そんなETFの中には分配型のものがある。分配型は日本市場では一定の人気がある。分散投資をする際の選択肢の一つとして考えてみよう。
ETFで先行する米国で、ETF残高は17年8月末で3兆1002億ドル(約347兆円)を超え過去最高になった。17年8月までの純資金流入額も2981億ドル(約33兆円)と過去最高のペースで増えている(モーニングスター調べ)。今や外国人の機関投資家が日本株を買う場合に米国籍、日本籍の日本株のETFを買うことが主流だ。
日本でも18年9月末でETFは183本あり、残高は37兆3824億円と過去最高を更新中だ(投資信託協会調べ)。
もっとも、日本の場合はそのうち約75%の約21兆円を日銀が保有していると推定される。日銀は経済対策、追加金融緩和の一環として、年間6兆円を目標にETFを買い入れることになっている。
ETFで純資産残高が多いのはTOPIX連動型投信 <1306> の8兆2657億円、日経225連動型投信 <1321> の5兆9433億円だ。個人投資家に人気の高い日経レバレッジ指数(日経平均の上昇時に2倍の上昇率となる設計) <1570> は4691億円、日経ダブルインバース指数(日経平均の下落時に下落率の2倍上がる設計) <1357> は1026億円(いずれも10月19日時点)の残高である。ETFの売り買いが、日経平均の先物に与える影響も大きくなっている。