アクセンチュアが、社内の「ジェンダーダイバーシティー(男女性別の多様性)」を活かす大胆な目標を打ち出し、2025年までに、社員の男女比を50対50にすると発表した。専門的サービス大手企業が、男女比の均衡を目標に掲げたのは、同社が初とみられる。日本企業に与える影響も無視できないだろう。
過去5年間のアクセンチュアの変革ペースや、現在女性が占める割合が40%を下回っていることを考えると、実際のところ2025年までに男女比を均衡にするという今回の目標は、かなり難しいように見える。例えば同社の昨年の女性比率は前年から1ポイントしか上がっていない。アクセンチュアは、どのようにしてこの目標を達成しようというのか?
最高経営者がこぞって自信の発言
アクセンチュアのピエール・ナンテルム最高経営責任者(CEO)は、「多様性は、私たちのビジネスをより強力で革新的なものにするだけでなく、社会をより良い方向へ変えていく力を持っている。当社はこの新たな目標を掲げ、ジェンダーバランスのとれた職場を実現するという重要なメッセージを社員と顧客に発信する」と語った。
自らも女性であるエリン・シュック最高人事責任者は、「当社は、多様性こそ創造力と競争力の源泉であると考えている。最終目標は、社員が誇りを持ち、仕事でもプライベートでも自分らしく能力を発揮し、生き生きと活躍できる職場環境を作ることである」と述べた。
アクセンチュアは現在、世界全体に約15万人の女性社員が働いている。同社はこれまでに、ジェンダーダイバーシティーに向けて、女性新入社員を40%にして、経営幹部への昇進比率を高め、20年までに25%までに引き上げるなどの政策をとってきた。
シュック氏は「大きな自信がある。多様性が自分たちをより賢く、革新的にするという揺ぎない信念がある」と述べている。
成果的に賛同する企業が現れてほしい
アクセンチュアは、上級職に就く女性に経営役員がメンター(助言者)として付き、昇進を支えるプログラムも用意している。今では、男性より女性の方が勤続期間が長く、昇進率も高い。これが新たな目標を達成することを信じるシュックの自信の源である。
アクセンチュアは3年前に、第三者組織の手で賃金問題を徹底的に調査して、指摘されたいくつかの問題点をベースアップで即時解決したという。アクセンチュアやデロイトは5月、コミュニケーションの回数を増やす代わりに年次の人事評価を廃止した。
シュック氏は「われわれがこの公約を掲げることで、賛同する企業が現れてほしい。そうすれば世界はもっと良くなると思う」と抱負を述べている。世界的に見ても極めて希な試みを注視してみよう(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)
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