みなさんは新聞や投資関係の雑誌などを読んでいると外貨預金の広告を見たりした事がありませんか。その時殆どの方が気付くかと思うのですが日本の定期預金などに比べて非常に高い金利である事に気づくかと思います。その数字だけ見れば何でみんなオーストラリアドルの外貨預金をしないのか不思議になりますよね。今回はそんな魅力的な通貨であるオーストラリアドルについてお話していきたいと思います。
代表的な資源国通貨
石油や鉄鉱石などの天然資源が豊富にある国の通貨の事を資源国通貨と言います。オーストラリアドルはその資源国通貨の代表的な存在となっています。他にもニュージーランドドル、カナダドル、南アフリカランド等が資源国通貨としてあげられます。その中でもオーストラリアは過去21年間途切れることなく経済成長を重ねてきました。世界金融危機の時ですら豊富な天然資源を背景にGDPは年率3%程度成長し続けてきたのです。
オーストラリア経済の特徴
オーストラリアのGDPは日本のおよそ1/4程度(2012年)となっています。資源国として有名ではありますが、石油や石油関連製品は殆ど輸入に頼っているというのが現状です、これは意外な点かもしれませんね。天然資源として世界中に輸出されているのは石炭や鉄鉱石です。日本も自動車産業を中心とした製造業は原材料をオーストラリアに高く依存している状態です。
オーストラリアから見て一番のお客様は何と言っても中国です。オーストラリアの経済成長は右肩上がりなのですが、特に2003年~現在に至るGDP増加率はそれ以前よりも急激に伸びが大きくなっています。この伸びの要因は輸出の増加による物で主に中国向けが半分くらいを占める勢いとなっています。オーストラリア国内の設備投資も輸出用の鉱業部門が90%以上となり、まさに中国経済の発展と共にオーストラリア経済も成長してきたと言えるでしょう。中国と表裏一体の経済構造はこれまでは良い面ばかり見えていましたが、中国経済が踊り場に差し掛かってきた現在は悪い面も目立つようになってきました。
オーストラリアの通貨である豪ドルは自国の経済指標よりも中国の経済指標に敏感に反応する事になり、いわば中国に振り回されてしまう様な状態になってしまったのです。中国国内で問題になっているゴーストタウンの問題をご存知でしょうか。とても立派な家やマンションが立ち並んでいる最先端の都市ですが実際に住んでいるのは10%以下という状態です。実際に住む為でなく投機用に作られた家やマンションが中国の至る所に存在しており、矛盾しながら強引に成長してきた経済のツケがついに表面化してきたのです。オーストラリアにしてみてもその投機用の家やマンションを作る為に設備を増強してきましたが、中国のバブルがはじけてしまえば無用の長物となってしまいます。マーケットが中国の経済指標に敏感に反応するのはオーストラリアが中国への依存度が高いという何よりの証拠なのです。
高金利通貨の理由
オーストラリアが高金利政策を掲げている理由はいくつか考えられます。その中で一番の理由として考えられるのがインフレの抑制です。日本はデフレで物の価値がどんどん下がって行く下降傾向にありますが、オーストラリアはこれとは逆で物の値段が上昇傾向にあります。基本的に景気が良い国はインフレになりやすいのですが、それだけではありません。オーストラリアは日本の20倍以上の国土を持ちながら、人口は日本の1/5程度しかいませんのでGDPもほぼそれに近い数値で比例していると言えます。ある程度大量に消費してくる市場が無ければ大量生産によるコストダウンの恩恵を受ける事は難しく、オーストラリアが抱えるジレンマであると言えます。
さらに広大なオーストラリアで人が住んでいるのは殆ど沿岸部で、その比率は98%にも及ぶ偏った人口分布となっているのです。平べったく言うとオーストラリアの真ん中は砂漠化が進んでいて水の確保も難しく全く使っていないのです。広大な大陸の沿岸部しか使っていないという事は交通網などのインフラ整備が十分でなく、国内の物流に非常にコストがかかってしまい、結果として物やサービスの値段が上がってしまうという構図になっているのです。こういった点からも、オーストラリアの経済が右肩上がりで成長しているとしても主要先進国が有している経済規模には遠く及ばない為、その通貨である豪ドルもそれほどの安定感を持っていないのです。
外国為替市場での推移
豪ドルの外国為替市場の推移ですが、リーマンショック前までは強い上昇トレンドに支えられていました。豪ドル/円のレートで言うと106円近辺まで上昇しましたが、リーマンショック後わずか10ヶ月くらいで半分の55円くらいまで下落してしまったのです。豪ドルはスワップ金利狙いの長期保有のトレーダーが多く、その為ポジションも大きく持っていた人が多かったようです。円高が急激に進行した事でこれらの大きなポジションを持っていた人が損失確定の豪ドル売りを強いられるという現象が起きました。
そういった投資家が次々とストップロスに引っかかる事で相場の下落速度も一段と加速したようです。全く底が見えなかった豪ドルも悪材料が出尽くすと底堅い値動きを始めるようになりました。豪ドル/円はアベノミクスの施策である異次元の金融緩和で2013年には100円台に乗せる場面がありました。今後も堅調な推移を見せていくかどうかは色々な面で注視していく必要がありますが、世界的な景気回復が軌道に乗れば一段高もあり得る様な環境が揃ってきています。
豪ドルの魅力と展望
豪ドルはブラジルレアルや南アフリカランド等と比較すると高金利通貨の中では安定しているという点がポイントです。テロなどの標的にもなりにくく、国内は社会情勢も安定しているのでそういった面の問題はありません。さらにニュージーランドやASEAN諸国をはじめとした自由貿易協定により今後も堅調な貿易活動が期待できる国でもあります。豪ドルの高金利政策は今後も継続されていく可能性がかなり高い為、 その高金利に焦点を当てた外貨預金、FX(外国為替証拠金取引)などの投資に目を向けてみても良いかもしれません。
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