多くのエコノミストたちの景気見通しがやや悲観的となる中、6月の製造業PMIは予想を上振れする意外な結果となった。まず、国家統計局、中国物流購買聯合会が30日に発表した6月の製造業PMIは51.7であった。これは5月と比べ0.5ポイント高く、本土の市場コンセンサスを0.7ポイント上振れしている。
また、財新、マークイット・エコノミクスが3日に発表した6月の中国製造業PMIは50.4であった。これは5月と比べ0.8ポイント高く、ロイター社がまとめたエコノミスト予想の49.5を0.9ポイント上振れしている。3ヵ月ぶりに景気拡大縮小の分かれ目となる50を超えている。
海外の市場関係者は、後者のPMIを重視する傾向が強い。イギリスの調査会社であるマークイット・エコノミクスが指数作成に協力している点に安心感を持つようだ。ただ、カバレッジが中小企業主体であり、調査総数が少ないといった短所もある。方向性が同じであることから、以下では、国家統計局、中国物流購買聯合会のデータを用いて、詳細を分析してみたい。
6月の製造業PMI、受注好調で生産拡大
製造業PMIは、5つの詳細指数の加重平均によって計算されるが、そのほかに8つの詳細指数がある。指数の評価方法は、50を超えていたら、景気は拡大、下回っていたら縮小したことを示す。また、前月と比べ、上回っていた場合を改善、下回っていたら悪化と表現する。こうした表記で13指数をグループ化すると、以下の通りである。
- 拡大かつ改善:製造業PMI、生産(25%)、新規受注(30%)、新規輸出受注、輸入、購買量、主要原材料購買価格、生産経営活動予想
- 拡大かつ悪化:なし
- 縮小かつ改善:原材料在庫(10%)、受注残、工場出荷価格
- 縮小かつ悪化:就業人員(20%)、サプライヤー配送時間(15%)、製品在庫 注)
※( )内の数字は、製造業PMIのウエート
これらを整理して、大まかな景気のイメージを示すと、新規受注、新規輸出受注が拡大・改善している。受注残は縮小しているが、改善している。需要がしっかりしているので、企業は生産の拡大を加速させているが追いつかず、製品在庫は減っている。経営者の見通しは楽観に傾いている。需給はタイトになっており、原材料価格は上昇が加速、工場出荷価格は下落ペースが弱まっている。