「子供には、学費の心配なくより良い教育を受けさせたい」--。これは世の親の共通の願いだろう。

しかし現実は厳しく、給与がなかなか増えないなかで学費のやりくりをしている家庭も少なくない。授業料の高い私立高校に子供を通わせているなら、見逃せない制度が私立高校の授業料軽減助成金だ。

助成金は申請しないと受けられない。

国の「就学支援金制度」と自治体の「授業料軽減助成金」が併給可

2014年4月以降に高校に入学した生徒は、国の「就学支援金制度」の対象になる。これは国公私立を問わず、一定の収入額未満の世帯の生徒に対して、授業料にあてるための費用を支給するものだ。

世帯の収入要件はあるが、両親のうちどちらか一方が働き、高校生1人(16歳以上)と中学生1人のモデル世帯の場合、年収約910万円未満(区市町村民税の所得割額が30万4200円未満)が給付対象なので、恩恵を受ける世帯は多いだろう。公立高校であれば授業料は無料になる。

私立高校の場合、国の就学支援金だけでは授業料をまかなうことはできないが、さらに上乗せできるものとして、都道府県による「授業料軽減助成金制度」がある。実施している自治体は、東京都、埼玉県、神奈川県、京都府、大阪府などだ。

助成金の金額は合計で44万2000円

給付金の額は世帯の収入額によって変わる。

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(画像=筆者作成)

東京都では、年収約760万円未満の世帯の場合、国の就学支援金と合わせて、最大44万2000円が支給される。これは都内私立高校の平均授業料相当額なので大幅に負担が軽くなるといえるだろう。

就学支援金と授業料軽減助成金の支給総額は、44万2000円の範囲内で、保護者が負担する授業料が上限となる。

助成金を受けられる条件

授業料軽減助成金を受けるには、保護者と生徒が、2017年5月1日以前から申請時まで引き続き東京都内に居住している、2017年度の住民税のうち、区市町村民税の所得割額が年額15万4500円未満などの詳しい条件がある。

【参考】
東京都私学財団 授業料軽減助成金事業の対象となる方

または2017年度の住民税額(都民税額と区市町村民税額の合計年税額)が一定基準以下の世帯が対象となる。

授業料軽減助成金の審査は、住民税課税額等に基づいて行われる。所得控除や家族構成などによって、助成の対象となるケースもある。年収が基準を超えているからといって対象外と決め付けるのは禁物だ。

まずは住民税の課税証明書や住民税額決定通知書の区市町村民税の所得割額と世帯人数をもとに、対象になるかどうかしっかり確認しよう。

申込みに必要な3つの書類

公的な助成金制度全般に言えることだが、授業料軽減助成金制度もまた、利用するためには申請が必要になる。しかも毎年必要なので忘れないようにしておこう。申請は年度に1回のみで、学年をさかのぼって申請することはできない。

申請に必要な書類は「授業料軽減助成金 交付申請書」(東京都私学財団のウェブサイトからダウンロード)、「住民票」(区市役所で交付、2017年5月1日以降の発行で、申請日前3カ月以内のもの。コピー可、世帯全員の記載があり、続柄の記載があるもの。マイナンバーの記載がないもの)、「住民税の課税証明書」(区市役所で交付、2017年5月1日以降の発行で、申請日前3ヶ月以内のもの。コピー可。生徒の扶養の記載、扶養人数=内訳=の記載があるもの)となっている。

国の制度である「就学支援金」とは別制度なので、それぞれ申請が必要であることに注意しておこう。12月下旬に、結果の通知と軽減額の振込の予定だ。いったん学費を支払うことにはなるが、ゆとりをもって新年を迎えられるだろう。
知っているかどうかで大きく差が付く公的制度。もれなく利用して家計を守っていただきたい。

タケイ啓子
ファイナンシャルプランナー(AFP)。36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。 FP Cafe 登録FPパートナー