2017年1月から加入者の範囲が拡大したことに伴い、20~60歳までならば原則ほとんどの方がiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入することができる。資産形成としても老後資金準備としても利用価値の高い制度だといわれており、加入要件が緩和されて以来、利用者がどんどん増加しつつある。

しかし、iDeCoは、一度加入したら原則として60歳以降になるまで脱退することができない。そのため、転勤や引っ越しなどで住所変更が必要になった際は、事務的な手続き方法を知っておく必要がある。今回は、iDeCo加入者の住所や登録情報の変更について解説する。


iDeCo加入者・運用指図者の住所変更の手続き

(写真=Peshkova/Shutterstock.com)
(写真=Peshkova/Shutterstock.com)

iDeCoに加入している方(加入者・運用指図者)が住所を変えた場合には、「加入者等氏名・住所変更届」(様式第K-005号)を提出する必要がある。「加入者等氏名・住所変更届」は、運営管理機関(現在加入している金融機関)から入手するか、国民年金基金連合会のホームページや運営管理機関がりそな銀行の場合は、りそな銀行のホームページからプリントアウトすることも可能だ。
国民年金基金連合会ホームページ
りそな銀行iDeCoホームページ > 加入後の変更手続き

記入事項については、一般的に金融機関で行うような内容と大差ない。変更前と変更後の住所、氏名、生年月日、性別、連絡先、変更年月日等を記入したうえで、印鑑を押して提出する。また、マイナンバーを記載する必要はない。加入時にもマイナンバーの提示は不必要だ。なお、海外へ移住する者については、別途記載欄が設けられている。

住所を変更したにもかかわらず所定の手続きを踏んでいないと、運用実績の通知など重要な書類が手元に届かなくなるおそれがある。場合によっては資産状況がわからなくなってしまうケースもあるほか、「掛金払込証明書」が届かないと所得控除の申請が行えず税制メリットを享受できなくなる。住所が変わった際は、忘れずに申請手続きを行おう。


書類の提出先はどこ?

「加入者等氏名・住所変更届」は、基本的には、運営管理機関へ提出する。

なお、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入していた方が、退職等によって加入資格を喪失し、資産移換の手続きが完了するまでに住所を変えた場合も手続きが必要だ。
手続きは、各運営管理機関によって多少異なるが、退職後に「確定拠出年金 加入者資格喪失手続完了通知書」が送られてくるため、同封されている「確定拠出年金 加入者口座属性変更通知書」に必要事項を記入し提出する。

ここで注意しておきたいのが「自動移換」だ。自動移換とは、企業型確定拠出年金の資格を喪失したにもかかわらず所定の手続きを半年間行わないと、それまでの積立金が自動で現金化され、国民年金基金連合会に移し換えられることをいう。

自動移換が行わると移換通知書などが国民年金基金連合会から送付されるが、前述の住所変更手続きを怠っていると、当該通知が手元に届かないため自動移換されたことに気づかない可能性が高くなる。自動移換中は「利息がつかない」「掛金の拠出や運用ができない」「老齢給付金などの請求ができない」などさまざまなデメリットが存在する。確定拠出年金を利用する際には十分注意しなければならない。


登録情報の変更には注意!

住所が変わるときは、結婚や転勤などライフイベントと関連することが往々にして多い。何かと慌ただしくなる時期であるため、iDeCoの住所変更をつい忘れてしまいがちだ。しかし、資産形成や金融商品は「情報」が命といわれている。運営管理機関から重要な通知が手元に届かないために、思わぬ問題が生じる可能性もある。住所が変わったら、なるべく早いうちに「加入者等氏名・住所変更届」を提出しよう。

(提供: 確定拠出年金スタートクラブ

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