日経平均予想レンジ19,755~20,200円

今週は、加計問題を巡る衆参両院予算委員会の閉会中審査を見守るムードが強まり、日経平均は週初め2日連続で2万円を割り込んだ。その後、FOMC声明を受けた円相場上昇で方向感が定まらない中、米国株高に加え、好決算発表が支援材料となり、一時2万円を回復する場面を見せたものの、週末には再び割り込んで終了した。

海外の焦点

注目のFOMCの結果は、事前予想通り政策金利を据え置き、声明文では資産圧縮の開示時期について、これまで「年内」としていたが、「比較的早期に」と表明し、早ければ9月にも始める方針を示した。

その上で、最近の低調なインフレ指標を受け、物価意識を「目標の2%を幾分下回っている」から「目標の2%を下回っている」に下方修正した。年内追加利上げを慎重に進めるメッセージと受け止められ、米国株は堅調な企業決算と相まって安心感が広がり、史上最高値を更新した。

国内の焦点

今週から日本企業の4-6月期決算発表が本格化した。日経平均に採用されている225銘柄の今期1株当たり予想純利益は7/27現在、1,396円と過去最高益が見込まれている。全産業の1-3月期の経常利益は財務省法人企業統計によると、19兆円とこれまでの2015年7-9月期の17.8兆円を上回り、過去最高となった。当時のドル円相場は120円付近であったが、足元では111円台の円高になっても過去最高益を達成したことは評価される。

ちなみに2015年6月には20,868円の高値を付けていたので、法人企業統計と経常利益との見合いからPER15倍(20,940円)として、この高値を更新してもおかしくない。一方国内政治には一定の目配りが必要であろう。加計問題での質疑は「言った」「記憶にない」などの水掛け論に終始し、不透明感を残したまま審査を終えた。安倍首相は8/3に内閣改造を実施する予定でいるが、内閣支持率が戻らなければ内閣不信任案の声が高まる可能性があり、警戒しておきたい。

テクニカル面では、25日線を挟んだ膠着相場が続いている。7月相場では上値が切り下がる一方で、下値の切り上げ形状から鑑みると、もち合いの煮詰まり感は終焉に近づいており、近々新たなトレンドが生じやすいといえるであろう。

来週の株式相場

以上、来週は決算発表が本格化しているが、決算内容によって株価に明暗が出ており、好業績が確認された銘柄への物色意欲の高まりは持続しそうだ。日経平均のレンジは上値は7/11高値20,200円が意識され、下値は6/15安値19,755円が目処となろう。

株式見通し7-28

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト