米国の原発事業で巨額損失を出し、債務超過に陥っている東芝 <6502> 。きょう8月1日には東証1部から2部に指定替えとなる。また2017年3月期決算の有価証券報告書の提出期限は8月10日に迫っている。これに監査法人が、監査意見の中でも最も厳しい「不適格意見」をつけるようなことがあれば、東証の上場廃止の審査にも影響を与えるだろう。岐路を迎えている東芝の問題をおさらいする。

2105年の内部通報で発覚、決算発表を2度延期する異例の措置も

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(写真= Alexander Tolstykh/Shutterstock.com)

東芝が直面しているのは債務超過にとどまらず、不正会計、いわゆる粉飾の疑いがもたれたことだ。そもそもの発端は2015年、内部通報によって2009年から6年間にわたって主力事業であるインフラ、半導体、テレビ、パソコン事業などで合計2306億円もの利益の水増しが発覚したことだった。これによって複数の役員らが退陣に追い込まれた。

さらに2017年に入って、米原子力子会社であるウェスチングハウス・エレクトリックが経営破綻した。東芝は2015年からその損失を認識していながら、2016年3月決算に計上すべき損失を計上していなかったとして、監査法人と意見が対立。

このため東芝は2017年3月期決算の発表を2度延期するという異例の措置をとった。2017年4月には監査法人の意見なしで決算を発表するという強硬措置を取り、決算発表なしで上場廃止となる最悪の事態は免れた。

今なお監査法人との損失の認識について意見が対立しており、すでに東証が実施している東芝の上場廃止審査に監査法人の「不適正意見」という悪材料が加われば、上場廃止にするかどうかの検討には大きな影響が出るだろう。

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