日産自動車 <7201> 、ルノー、三菱自動車 <7211> の3社連合が、2017年上半期(1-6月)の累計販売台数で初めて世界販売トップに立った。日産グループは7%増の526万8079台と過去最高を記録している。

昨年の年間首位だったフォルクスワーゲン(VW)は515万5600台で2位に落ち、トヨタ <7203> は、グループ世界販売(日野自動車 <7205> 、ダイハツ工業 <7262> を含む)は前年同期比2.7%増の512万9000台で過去最高を更新したが、3位にとどまった。昨年年間3位の米ゼネラル・モーターズ(GM)は、インドからの撤退が響いて、同1.7%減の468万6000台だった。

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ゴーン氏3社連合のシナジー効果強調、年間トップも狙う

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(写真=Clari Massimiliano/Shutterstock.com)

ルノーの最高経営責任者(CEO)で、日産、三菱自の会長であるカルロス・ゴーン氏は27日の記者会見で、提携によるスケールメリットと世界市場プレゼンスを活かして、「シナジー効果をもたらす」と販売トップの理由を分析した。

さらに、提携を拡大して販売増を図り、顧客に次世代モビリティーサービスを提供することで、「潜在能力を最大限に発揮することができるだろう」と述べ、年間世界首位にも意欲を示した。一方、三菱自の益子修CEO同日、「結果的にナンバーワンになればうれしい」と述べた。

日産グループはアフリカや中東、インドなどで販売を伸ばしたルノーグループが10%増の187万9000台、日本市場で好調だった日産が6%増の289万4000台となった。三菱自は、燃費改ざんが発覚した軽自動車の国内販売を16年7月に再開したことで、2%増の49万4000台となった。

日産グループの販売内訳は、日産が289.4万台、ルノーが187.9万台、三菱自が49.4万台。昨年10月に、日産が34%を出資して筆頭株主になった三菱自の販売分が全体を押し上げた。ルノー・日産は、燃費不正を起こした三菱自動車を16年に傘下に収め、世界首位を狙う陣容を整えた。16年はVWが年間首位でトヨタは2位、3位はGMだった。ルノー・日産は4位だったから、3社連合のシナジーは、ゴーン氏が言う通り大きかった。

ゴーン氏3社連合のシナジー効果強調、年間トップも狙う

トヨタは国内販売で新型SUV車「C-HR」などが好調だったほか、中南米、欧州、アジア、オセアニアでも販売が伸びた。トヨタの17年上半期は、北米は振るわなかったが、国内や欧州、アジアで販売が伸びた。ダイハツなどを除くトヨタ単独でも2.4%増の462万2000台と過去最高を更新した。

世界販売の歴史をたどると、GMは07年まで77年間トップに立ち、08年にトヨタが首位を奪取した。14年以降はトヨタとVWが僅差で首位を競う構図になっている。日産グループはこの態勢を破ったもので、今後の推移が注目される。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)