そろそろ住宅の購入をと具体的に探し出すと、気になる物件がいくつか出てくる。しかしいざとなると、その物件が買えるかどうかがわからない。よく「住宅購入は年収の5倍まで」といわれるが本当にそうだろうか? 今回はそのセオリーは正しいのかを考えてみたい。

「住宅購入は年収の5倍まで」は正しいのか

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(写真=PIXTA)

頭金はすべて諸費用にあてるとして、住宅ローン借入分の物件を購入したと仮定して考えてみる。

例えば、年収300万円の世帯が、住宅ローン借入金1500万円を金利1.0%で35年返済としたら、月々4.3万円を返済しなければならない。所得税・住民税・社会保険料の合計を20%とすると、手取り収入は月々20万円となり返済負担率は21.5%になる。

一方、年収1000万円の世帯ならどうだろうか。年収の5倍の5000万円の住宅ローンを組むと、同条件での借入なら月々14.2万円の返済となる。手取り収入を月々60万円とすると、返済負担率はおよそ23.7%となり、年収300万円世帯より高くなる。

しかし、実際の暮らしを考えた場合はどうだろうか。住宅ローン返済後、年収300万円世帯は月々15.7万円で、1000万円世帯は月々45.8万円で生活することとなる。年収300万円世帯のほうが返済負担率は低いが、ローン返済が生活に大きな影響を与えることは間違いないだろう。なぜならば、人は生きていくために最低限必要なお金があり、年収300万円の世帯でも、1000万円の世帯でも、同じ家族構成であれば、その額が極端に変わることはないからだ。

「年収の5倍まで」はだれにあてはまるのか?