近年、突発的な集中豪雨の「ゲリラ豪雨」が増えると同時に、その被害も深刻化する傾向にある。気象情報のウェザーニューズ(=WNIウェザ、4825)によると、今年の7〜9月のゲリラ豪雨の発生件数は過去3年平均と比べて3割多い7000回超に達する見通し。中でも東北北部や近畿北部では昨年比で5〜8割近くも増えるという。8月のゲリラ豪雨のピークを控え、関連銘柄に関心が向かいそうだ。

地球温暖化などを背景に、ここ10年で非常に激しい雨の降る回数が増えている。これに伴い河川の氾濫(はんらん)などの水害も多発しており、直近では7月の九州北部豪雨による死者数が36人に達した(7月31日時点)。被害額は、豪雨被害の中心となった福岡、大分の両県で1400億円超と試算されている。昨年の水害の全国の被害額は、推定約4620億円と、過去10年間で2番目の大きさとなった。

都市部でも、ゲリラ豪雨によって下水道に流れ込む水量が急増する中、雨水の浸水リスクが高まっている。水害の拡大などを背景として、政府は対策を強化する改正水防法を施行。企業も製品強化に乗り出している。

富士通(6702)は、ゲリラ豪雨対策に活用できる氾濫検知用の装置を開発。東京計器(7721)も、水没しても計測可能な水位計を手掛けている。

鶴見製作所(6351)は、水中ポンプの売上が伸びている。マンホール内に設置し、ゲリラ豪雨の際には強制排水することで冠水を防ぐ。河川増水対策、汚水処理などの設備も手掛け、この投資テーマの本命格ともいえる存在だ。株価は2016年6月の安値1203円を底に上昇基調に転じ、足元では一服して押し目買い好機に差し掛かっている。

都内で1〜4日に開催している「下水道展」でも、ゲリラ豪雨対策に関連する設備やサービスが注目を浴びそうだ。鶴見製や東京計器のほか、前沢工業(6489)や日本ヒューム(5262)、下水の流量制御装置を展示するゼニス羽田ホールディングス(5289・(2))なども参加している。

穴株としては、株価低位の不二サッシ(5940・(2))を狙いたい。7月以降相場つきが変わってきた同社は、文化シヤッター(5930)と共同で、ゲリラ豪雨による建物の浸水被害を防ぐ自動ドアを開発済みだ。このほか、雨水を地中にためる製品群で1万数千件の施工実績を誇る天昇電気工業(6776・(2))や、豪雨災害の復旧などで使用される強力吸引作業車の兼松エンジニアリング(6402・(2))をマークしたい。(8月2日株式新聞掲載記事)

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