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Written by 工藤崇(くどう たかし) 19記事

3ケースで見ていく

「認知症の親」の銀行口座 お金はどうやって降ろせばいいのか?

誰もが向き合わなければならない「老い」。当人だけではなく、配偶者や子どもといった家族もまた「介護」という形で親の老化によって困難の増える日常生活を支えていく。このように家族は老いと向き合うとき、心理的のみならず、経済的にも大きな負担が強いられる。

親によっては自身の老後のため、銀行口座に貯蓄を進めている人もいるだろう。ただ、親が認知症になったとき、家族が引き落としを望んでも金融機関によってスムーズに進まない可能性もある。本人が「自分の身体に老いを感じたら準備をしよう」と考えているため子どもとのあいだで準備が進まず、判断力が無くなってしまってから家族で対応に慌てる場合がある。親が認知症になった場合、貯蓄の引き落としをどのように進めるとよいのだろうか。

1. 認知症の親の口座は引き落とせない?

(写真=wavebreakmedia/Shutterstock.com)
(写真=wavebreakmedia/Shutterstock.com)

認知症になった場合、程度にもよるが、子どもが引き落としの希望を示したとしても金融機関が応じないケースがある。この判断は金融機関によって、また支店や担当者によって可否が異なるが、概ね以下の3ケースがある。

(1)成年後見の有無を問う場合

親の認知症が進む前に(判断能力がある時点で)、成年後見を締結しておく必要がある。この場合、子どもは親の「金銭管理をする権利」があるため、親が認知症になっても引き落としの希望は問題なく進む。ただ、一度に数十万円を引き落とすなど金額によっては、本当にそのお金を親の用途に使うのか証明を求められる場合もあるが、子どもにとっても負担にならない場合が多い。

成年後見以外では、家族信託(民事信託)を活用することもお勧めだ。家族のなかで資産管理をする人を決めるため、金融機関にもスムーズに対応して貰うことができる。早めに税理士や司法書士など専門家に相談してスキームを組み立てておくようにしたい。

(2)同居をしている場合

親子間で後見こそ結んでいないが、同居をしている場合は実際に介護関係にあると見なされて、金融機関が引き落としに応じる場合が多い。ただ、引き落とし金額によっては「同意書」が必要となる。同意書は認知症の親とのあいだはもちろんだが、客観的に見てその引き落としが適切と保障する「保証人」が必要となる。親子以外の家族や弁護士などの専門家が該当するようだ。

親子間が別居の場合はハードルが上がるが、子どもの別居が就業などによる「自然」なものの場合は、金融機関も引き落としに応じる場合が多いようだ。ケースによっては同意書だけではなく、親族の同行を金融機関が求める場合もある。

(3)上記の客観的資料が準備できない場合

上記のような客観的資料が準備できない場合は、金融機関によって引き落としが拒まれたり、手続きが長期間に及んでしまうことも多い。親を介護施設に入居させるときの一時金や生活費などは、金融機関の判断を待つことができないため、子どもが立て替えるというケースも多い。

繰り返しになるが金融機関としても、支店や担当者によって判断が分かれることが多い。引き落としの交渉がスムーズに進まない場合は、交渉の相手を変えたり、専門家による支援が効果を持つ可能性もある。弁護士や税理士、ファイナンシャルプランナー(FP)といった専門家に早めに相談をしておくことも効果的だ。

(1)から(3)に共通して言えることは、客観的に見たときに「お金の流れ」をはっきりさせておくことが大切だ。領収書と現金出納を残しておくことはもちろん、さまざまな資料を残しておくことをお勧めする。これは子どもが一時的に立て替えた場合も同様。引き落としも一度ではなく、何度かに分けて

介護は高齢化を迎えた今後の日本にとって目下の課題だ。金融機関はなぜ、このような慎重さの際立つ対応をするのだろうか。

2. 銀行口座上は親子も他人?

金融機関は預入を受けた各個人の財産を守る義務がある。子どもが親の貯蓄を引き落としたいと金融機関を訪れた場合、その親子関係が子のいうように「本物」なのか、親が子どもに引き落とす意志があるかどうかを判断しなければならない。そのため、銀行口座上は親子も他人として、親の貯蓄を子どもが引き落とすための「証明」を求めなければならない。

介護の諸問題を見ていて感じるのは、親を「送り出す」役割を担った子どもが、そのために負担を増したり、損をしたりするのは避けなければならない。今回取り上げた銀行口座の問題にしても、金融機関が介護者の負担という現状を踏まえて改善していくことが望まれる。金融機関に自発的な改善を望むだけでは時間がかかってしまう。社会が負担を軽減するように動いていくことが必要だ。

工藤 崇(くどう たかし)
FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じ、Fintech領域のリテラシーを向上させたい個人や、FP領域を活用してFintechビジネスを検討する法人のアドバイザーやプロダクト支援に携わる。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居。執筆実績多数。

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