「100万ドルの老後貯蓄で何年暮らせるか」という調査で、同じ米国内でも地域によって15年の差が開くという結果が報告された。

最も長く暮らせる州、ミシシッピーでは26年だが、本土より平均的な物価が3割増しというハワイでは11年で底を尽きるという。カリフォルニアでは16年、ニューヨークでは17年だ。

ハワイの生活費は本土平均より7割増し

米国でも高齢化が進み、毎日1万人の高齢者(65歳以上)が生まれている。一般的な定年退職年齢63歳、平均余命85歳に基づいて算出すると、22年間の長期的な老後の経済プランが必須となる。

AARP(全米退職者協会)が推奨する老後の蓄えは100万ドル。しかし調査を実施した金融情報サイト「GOバンキング・レーツ」 は、その金額が十分かどうかは「老後を過ごす地域の物価に大きく左右される」としている。

調査では各州の食費・住居費・光熱費・交通費・医療費を含む、総体的な生活費を分析している。

例えば観光地として栄えるハワイだが、生活必需品からガソリンまで、消費物は本土から空輸に依存するところが大きい。必然的に輸送などに要するコストが実際の商品に上乗せされ、市場に出回ることになる。

平均的な生活費は本土の平均よりも67.4%高いという。したがって100万ドルは「11年11カ月しかもたない」という結果に。

8割が「老後に不安を感じる」、9割が「政府は理解していない」

次いでカリフォルニア(16.5年)、アラスカ(17年)、ニューヨーク(17.1年)、マサチューセッツおよびコネチカット(各17.4年)が、経済的に余裕がない状態で長生きしたいのであれば避けるべき土地のようだ。

対照的にミシシッピでは26.4年と、ハワイの2倍の長さの老後を楽しめる。生活費が本土平均を14%下回る 、「年間3.7万ドルもあれば十分な生活が送れる」という財布に優しい州だ。

ほかにもアーカンソー(25.6年)、オクラホマ(25.2年)、ミシガンおよびテネシー(25年)は生活費や医療費が比較的低く、経済的な圧迫を感じにくいとされている。

ナショナル・インスティテュート・オブ・リタイヤメント・セキュリティーの調査 では、76%が「財政的な問題が老後の安定におよぶ影響」を懸念しているほか、88%は「(自国が)定年危機に直面する」との不安を抱えている。85%が「政府は老後の生活の準備がどれほど大変か理解していない」と答えた。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)