日経平均予想レンジ19,297~19,679円
今週は、米政権の迷走や北朝鮮を巡る地政学リスクへの警戒感が漂う中、日経平均は1年4カ月ぶりとなる5日続落から5/2以来の安値水準19,351円まで下落した。その後は19,400円を挟んだもみ合いとなり、底値固めの様相を強めた。
海外の焦点
トランプ政権の先行き不透明感が強まる中、米税制改革に絡み、米政府要人と共和党議員の間で個人と企業の税負担軽減のための財源確保に関し、合意がなされたとの報道は米政治リスクを和らげる材料として期待される。9/5以降実際に議会での議論が行われる予定であるが、政策実行に向けた道筋が見えてきた点には注目しておきたい。
一方、米国株の本格調整が市場の脅威として懸念される。経験則では8月から9月にかけては下落しやすく、特に9月は各ファンドの決算対策売りが出て年間パフォーマンスは一番悪い。今年の米国株はトランプ相場を好感して1月から多少の調整を交えながら上昇基調を維持してきた。しかしここにきてトランプ政権運営に不透明感が漂っている。9月はイエレン議長が資産圧縮を明言すれば、かつてバーナンキFRB議長が実施したQE(量的緩和)に関する引き締め的な政策変更実施で高値波乱となっただけに、同様の展開が繰り返されてもおかしくない。
又、来月には米政府の債務の上限問題が米議会でこじれそうな点。共和党内の保守強硬派は、財政赤字の急拡大で歳出削減策が担保されない無条件での上限引き上げには応じない可能性が大きく、債務の上限問題がこじれて米国債の格付けが引き下げられることとなれば、2011年8月の急落同様今回も高値波乱は免れない。
国内の焦点
テクニカル面では8/18、25・75日線のデッドクロス後、日経平均は調整色が強まっている。下値抵抗線の200日線19,297円の0.53%まで乖離が縮小してきた。8/24現在、サイコロジカルラインは2勝10敗となり目先的なボトム圏に達している。空売り比率は43.3%まで上昇している上、PERが13.67倍、NT倍率12.15に位置しているだけにいつ反転上昇に転じてもおかしくない状況といえる。
来週の株式相場
以上、来週は米国政局リスク、北朝鮮情勢リスク、円高リスクなど外部環境の悪化が圧迫要因とされる中、これらの不安要素に改善の兆しが見えてくるまでは、底値鍛錬が続くと見ざるを得ない。日経平均のレンジは上値は8/17窓埋め19,679円が目処となり、下値は200日線19,297円が意識される。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト