円相場の強調展開が一転し、対ドル、対ユーロで円安に振れつつある。米国の好調な経済指標や、トランプ米大統領が法人税減税への意欲を改めて訴えたことで、8月31日の東京外国為替市場では1ドル=110円台後半までドル・円が上昇した。円安・ユーロ高も進む中、輸出株を見直す動きも出始めている。

円安銘柄
(写真=PIXTA)

31日のドル・円は2週間ぶりの円安水準を付けた。前日出た米8月ADP雇用統計や米4〜6月期GDP(国内総生産)改定値が市場予想を上回ったほか、トランプ大統領が税制改革の焦点となっている法人税について、税率を現在の35%から15%まで大きく引き下げたい考えを示したことがドル買いにつながった。

ユーロ・円もここ2週間で2%超円安が進み、足元で1ユーロ=131円台に付けている。日本企業の今年度の想定レートは1ユーロ=120円前後に集中しているため、円安メリットが膨らみそうだ。

為替前提が保守的な企業や、利益への円安インパクトが大きい銘柄には特に注目が集まる。今3月期通期(もしくは7月以降)のレートを1ドル=100円と想定しているのはアドバネクス(5998)や太陽ホールディングス(4626)、ファナック(6954)など。通期営業利益の会社予想に対し、1円円安時のプラス影響度はアドバネクスが3%超に上る。

ユーロ・円の前提(今3月期の7月以降)は日立建機(6305)が1ユーロ=110円、リコー(7752)が同115円としており、いずれもドル・円も含めた円安メリットが大きい。新興株では音楽用電子機器のズーム(6694・JQ)に注目。今12月期の前提は1ドル=103円。1円円安となった場合の年間営業利益の押し上げ額(1300万円)は、会社計画の約6%に相当する。

9月1日には米8月雇用統計が発表されるほか、7日にはECB(欧州中央銀行)理事会も控える。円安が加速するきっかけとなる可能性もある。(9月1日株式新聞掲載記事)

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