食の安全に対する関心が高まる中、国内ではHACCP(=ハサップ、食品製造などに関する危害要因を分析して重要な工程を監視・記録するシステム)の導入が進みそうだ。政府はハサップによる衛生管理を制度化するため、関連法を改正する。チノー <6850> などに商機が広がる。
ハサップは1960年代に開発された衛生管理手法。食品の製造や加工、出荷といった過程において、食中毒などの危険を予測し、問題がないかを監視する一連のシステム。欧州ではハサップの概念を取り入れた衛生管理を、食品加工や流通に携わる業者に義務付けており、世界的に導入が進んでいる。
一方、日本でも市場移転問題で話題を集めた豊洲市場などがハサップに準じた設計となっているが、全体的な導入率は低く、2015年時点で29%にとどまる。特に中小業者を中心に普及が遅れている状況だ。しかし、EU(欧州連合)など衛生管理の意識が高い地域への食品の輸出を増やすためには、ハサップ対応が欠かせない。
こうした中、農林水産省ではハサップ比率を21年度までに80%に引き上げ、導入事業者数を現在の2.5倍の4万社に増やす目標を掲げた。国は来年にも、国会に食品衛生法など関連法の改正案を提出する見通しだ。
恩恵を受ける企業として、計測器を手掛けるチノーに注目したい。同社は温度や湿度の測定装置でハサップ向けの売上拡大を目指す。現状は半導体製造装置向けが好調だが、制度化の流れを踏まえると食品分野の伸び代も大きい。
チノーの株価は7月の高値1295円から調整し、足元では1200円前後で推移している。PBR(株価純資産倍率)は0.7倍台と割安感が強く、全般相場の落ち着きとともに見直される可能性が高そうだ。
流通トレーサビリティ(履歴管理)ではラベルプリンター大手のサトーホールディングス <6287> のほか、トレーサビリティに使われる商品情報管理ソフトのeBASE <3835> が有力。同社のデータベースには食品業界で1.9万社が参加。また、ビケンテクノ <9791> も食品向けの衛生管理で知られる。
このほか、9月13日開催の食品の安全をテーマとした展示会「フードセーフティジャパン」には、アネスト岩田 <6381> や衛生管理システムでビー・エム・エル <4694> が出展する。(9月8日株式新聞掲載記事)
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